専有された〈戦争の記憶〉

書誌事項

タイトル別名
  • The Repossession of the Memories of the War:
  • 専有された〈戦争の記憶〉 : 井伏鱒二「黒い雨」における〈庶民〉・〈天皇〉・〈被爆者〉
  • センユウ サレタ 〈 センソウ ノ キオク 〉 : イブセ マスジ 「 クロイ アメ 」 ニ オケル 〈 ショミン 〉 ・ 〈 テンノウ 〉 ・ 〈 ヒバクシャ 〉
  • ――井伏鱒二「黒い雨」における〈庶民〉・〈天皇〉・〈被爆者〉――
  • The Narrative Framework of “the Wartime” in Ibuse Masuji's <i>Black Rain</i>

この論文をさがす

抄録

<p>本論では、井伏鱒二「黒い雨」を分析し、作品発表と同時期の〈天皇〉言説を参照しながらそこに潜む〈戦時〉の枠組みと〈戦争の記憶〉の占有について論じた。庶民を描いたと評される「黒い雨」は、戦後の日常語りや抑圧的上下関係を戦時特有のものとする語り、〈去勢〉としての〈敗戦〉表象などによって、原爆の惨状を含む〈戦時〉を〈異常〉な時間と意味づける。これは一九六五年前後に浸透したといわれる「象徴天皇(制)」をめぐる言説と近接していた。本論では、こうした〈戦時〉を異常とするまなざしが、〈天皇〉と一体化し得る〈われわれ〉の歴史として〈戦時〉を枠づけ〈戦争の記憶〉を占有するものであったことを指摘した。</p>

収録刊行物

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ