女子学生の食育に関する意識調査

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  • A fact-finding study on the Shokuiku of female college students

抄録

【目的】<br> 中学校家庭科の「食領域」においては、生涯にわたって健康で安全な食生活を送るための基礎知識を身につけること、食事の役割について理解を深め、基礎的な調理ができることをねらいとしている。「日常食の調理と地域の食文化」項目では、食事には文化を伝える役割があることを理解し、地域の食材を生かした調理、地域の食文化にも関心をもつことが取り上げられている。しかし、内閣府による食育に関する意識調査報告書(2014年3月)によると、地域や家庭で受け継がれてきた料理や味について知っている者は46.9%であり、半数を満たしていなかった。そこで、地域の伝統的な行事食や郷土料理について、どの程度理解しているのか、食生活・生活習慣も含めて調査を行った。<br><br> 【方法】<br> 北海道F大学に在籍する女子学生のうち、同意が得られた156名を対象に2014年10月に実施した。調査項目は、食育に関する意識調査を参考にし、食育への関心4項目、地域の食文化(行事食・郷土料理)に関すること6項目のほか、日ごろの食生活・生活習慣に関すること6項目について無記名自記式質問紙法により実施した。行事食、郷土料理については、知っていると回答した者に対し、料理3つまで記述してもらった。回答に不備があるものを除き、132名を解析対象とした。<br><br>【結果および考察】<br>1.食育への関心  食育の言葉も意味も知っていた者は99名(75.0%)、言葉は知っていたが意味は知らなかった者は33名(25.0%)であり、食育に関心があると回答した者は、128名(97.0%)であった。食育の日および食育月間を知っている者は、それぞれ44名(33.3%)、54名(40.9%)であり、食育の日の認知度が低かった。<br><br>2.地域の食文化  行事食を知っていると回答した者は106名(80.3%)であり、おせち料理が最も多く、次いで桃の節句、端午の節句の行事食であった。回答した中には、料理名ではなく行事名での回答がみられた。節分については、炒り大豆、福豆の回答はみられず、恵方巻が多かった。行事食の料理として土用の丑の日、ハロウィン、クリスマスという回答も見られた。中学校家庭科教書の中では、受け継がれる食文化として、雑煮・おせち料理(正月)、おしるこ(鏡開き)、七草粥、炒り大豆、福豆(節分)、ちらしずし、ひなあられ(桃の節句)、かしわもち、ちまき(端午の節句)、そうめん(七夕)、月見だんご(中秋の名月)、おはぎ(彼岸)、かぼちゃ(冬至)、年越しそば(大晦日)が行事食として取り上げられていた。北海道の郷土料理について尋ねたところ、知っていると回答した者は110名(83.3%)であった。中でも鮭を使用した料理(石狩鍋、チャンチャン焼き)の回答が多く、全体の76.3%であった。行事食や郷土料理を次世代に伝えたいと回答した者は116名(87.9%)であり、地域や家庭で受け継がれてきた料理や味を大切にしたいという意識が高いことがわかった。<br><br>3.食生活・生活習慣  朝食を欠食する者は32名(24.2%)であった。日々の生活に時間的なゆとりを感じている者は44名(33.3%)、感じない者は51名(38.4%)であり、朝食を欠食する者の方が、日々の生活に時間的なゆとりを感じていない者が多かった。自分の健康状態について、とても良い、まあまあ良いと回答した者は96名(72.7%)であったが、どちらともいえない20名(15.2%)、あまり良くない、良くないと回答した者は16名(12.1%)であった。<br><br> 以上のことから、食育への関心は高く、地域の食文化について認知度は高かった。しかし、伝統として長く受け継がれてきた行事食の意味、生活の節目の行事に用意する特別な食事であることを正しく伝える必要性が確認できた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205594657664
  • NII論文ID
    130005287032
  • DOI
    10.11549/jhee.59.0_64
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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