東京都立高等学校家庭科における班別学習(少人数編成授業)設置の経緯と実態調査 History and actualities of class size reduction for high school home economics in Tokyo prefecture

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抄録

<br><br><b>【目的】</b><br><br>東京都高等学校家庭科教育研究会(都家研)では、班別学習(少人数編成授業:授業クラスを2クラスに分けて同時展開)の推進に長年にわたって取り組んできた経緯がある。班別学習は実習授業の安全性や技術を含めた家庭科の学力向上を図る上で効果が期待されている。現在、少人数編成授業は家庭科教員の減少を防ぐ方策としても挙げられており、東京都の事例を検証することは家庭科教育において歴史的価値があると同時に今後の家庭科教育の課題を検討する上でも意義があると考えられる。<br><br>そこで、本研究では、東京都立高等学校家庭科の班別学習(少人数編成授業)設置の経緯を調査するとともに、現在の実態と課題を把握することを目的とする。<br><br><b>【方法】</b><br><br><b> </b>東京都立高等学校家庭科の班別学習(少人数編成授業)設置の経緯を把握するため、昭和41年から平成25年までの都家研の研究活動報告による文献調査および教員への聞き取り調査を実施した。さらに、最近の状況を把握するため、東京都立高等学校家庭科教員に班別学習に関する質問紙調査を実施した。平成27年2月に162校へ郵送して73校から回答があり、回収率は45.1%だった。<br><br><b>【結果】</b><br><br>(1)都家研が教育委員会に陳情した結果、家政科における「被服」「食物」の専門科目の分割授業は昭和34年に認められている。普通科では、昭和45年10月に都議会において家庭科の分割学習に関する請願が採択されたものの、予算化はされなかった。そのため、都家研では予算編成上のための資料として昭和45年11~12月「家庭科の分割学習に関するアンケート」を実施し、現行の授業クラスを分割学習で25人にした場合に必要な教員数を提示している。<br><br>(2)昭和46年の陳情書では、分割学習が必要な根拠が示され、現行の家庭科が平均で48人一学級編成であるため、技術習得上、危険防止上、使用教室の面積及び教材機器の活用上の理由から、一学級の人数上限は25人が限度としている。昭和54年には都家研に研究グループ「家庭一般の班別学習推進の研究」を設置し、分割学習から班別学習に名称を変更して班別学習の実施を組織的に推進し、昭和55年に普通科高校5校が班別学習実施となった。以降徐々に実施校が増加し、昭和59年は18校が班別学習を実施している。<br><br>(3)平成元年学習指導要領告示で高校家庭科が平成6年より男女必修になることが示された。そのため、平成2年の陳情書では、実施している49校の班別学習による学習成果、実験実習における安全性に関する実態調査の結果を資料として班別学習の必要性を述べ、加えて男女必修に向けての教育条件の整備として班別学習の拡大を挙げている。さらに、「男女必修家庭科推進のための要望書」も平成2年から10年まで毎年提出している。平成6年に家庭科は男女必修となりクラス単位の授業が可能となったが、班別学習の実施校数は拡大し、平成12年は76校が実施している。<br><br>(3)平成18年は99校が実施し、この頃が最大となっている。これは、平成15年に「家庭基礎」2単位科目が登場したことによる授業時数の減少の影響によるものと推測される。その後、各学校での班別学習の申請が受理されにくくなるとともに、陳情という手法がとりにくくなり、都家研も平成24年以降は陳情をしていない。<br><br>(4)東京都立高等学校73校の実態調査の結果、現在班別学習を実施しているは41校で56.2%の実施率だった。班別学習の経験者65人の班別学習の評価は、「良い」87.7%、「どちらともいえない」10.8%、「悪い」0%だった。「良い」と評価した理由として、一人ひとりにていねいに対応できる、主体的な学習活動をさせやすい、実験実習での安全の確保、効率のよい実習ができるなどを挙げている。

収録刊行物

  • 日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集

    日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集 59(0), 50, 2016

    日本家庭科教育学会

各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    130005287081
  • 本文言語コード
    JPN
  • データ提供元
    J-STAGE 
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