空腸瘻を形成した横行結腸癌の1例

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タイトル別名
  • A Case of Jejunocolic Fistula Due to a Cancer of Transverse Colon

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抄録

はじめに:結腸癌による小腸瘻は比較的稀な病態である.大きく結腸空腸瘻と結腸回腸瘻に分かれるが,症例数が少なく,瘻孔形成部による差異に言及した報告は認めない.われわれの経験した空腸結腸瘻を中心に考察する.<br>症例:77歳男性.体重減少,貧血を認め,大腸内視鏡検査で小腸に瘻孔を形成する横行結腸癌が指摘された.精査にて横行結腸癌cSI(小腸),N2,M0,Stage Ⅲbの診断で結腸左半切除と小腸部分切除術を施行した.最終診断は横行結腸癌,pSI(小腸),N1,M0,Stage Ⅲaであった.術後2年無再発生存中である.<br>考察:本邦の結腸癌小腸瘻の報告は自験例を含め32例であった.空腸瘻は24例,回腸瘻は8例認め,粘液癌を散見した.回腸瘻症例に特徴的な所見は認めなかったが,空腸瘻症例では体重減少や下痢を主訴とするものが多く,リンパ節転移例が少なかった.結腸癌空腸瘻は臨床所見から予後不良な印象を受けるが,積極的な手術療法で予後が期待できることが示唆された.

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