訪問リハビリテーション利用者の生活空間拡大に関連する要因

DOI
  • 藤堂 恵美子
    大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科 医療法人マックシール 巽病院訪問看護ステーション
  • 樋口 由美
    大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科
  • 今岡 真和
    大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科
  • 北川 智美
    大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科
  • 上田 哲也
    大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科
  • 安藤 卓
    大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科
  • 水野 稔基
    大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科
  • 安岡 実佳子
    大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科
  • 高尾 耕平
    大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科
  • 脇田 英樹
    医療法人マックシール 巽病院訪問看護ステーション
  • 池内 俊之
    医療法人マックシール 巽病院訪問看護ステーション

抄録

【はじめに,目的】活動・参加の促進を目標とした訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)のためには,生活空間の拡大が重要である。しかし,訪問リハの生活空間拡大に対する効果は未だ明らかにはされていない。そこで本研究は,訪問リハ利用者を前向きに調査し,生活空間拡大に関連する要因を検証することを目的とした。【方法】対象は,訪問看護ステーションで理学療法士・作業療法士による介護保険でのリハビリテーションを利用開始する高齢者とした。平成26年4月から平成27年6月までの間に利用開始し,90日間追跡可能であった者は20名(女性16名)で,性別は男性4名,女性16名,平均年齢は81.9±7.9歳であった。ベースライン時の調査項目は,要介護度,障害高齢者の日常生活自立度,認知症高齢者の日常生活自立度,住居形態,同居家族の有無,入院歴,転倒歴,訪問頻度,転倒自己効力感(FES),主観的健康感,うつ傾向(GDS5),立ち座り動作能力,生活機能としてFIMおよび老研式活動能力指標,訪問リハ実施内容を調査した。訪問リハ実施内容は,訪問時に記入する記録用紙に5項目(関節可動域運動,筋力増強運動・自動運動,日常生活動作練習・指導,生活環境の確認・調整,その他)を選択式で記入できるようにし,担当者は実施した全ての項目を選択した。生活空間はLife Space Assessment(LSA)を用いてベースライン時と90日後に評価し,生活空間レベルに変化がなかった群を維持群,福祉用具の使用や介助者の有無に関わらず生活空間レベルが1段階以上拡大した群を拡大群とした。統計解析は項目に応じてχ2検定,Fisherの正確確率検定,Mann-WhitneyのU検定を用い,有意水準は5%とした。【結果】維持群は8名,拡大群は12名であった。性別,年齢,要介護度,障害高齢者の日常生活自立度,認知症高齢者の日常生活自立度,住居形態,入院歴,転倒歴,訪問頻度,FES,主観的健康感,GDS5,立ち座り動作能力,生活機能,90日間の総訪問回数は,維持群と拡大群で有意差はみられなかった。同居家族がいない者は維持群50.0%に対し拡大群91.7%で,有意傾向を示した。訪問リハ実施内容は,90日間で各項目が選択された回数を集計した結果,関節可動域運動および筋力増強運動・自動運動は全利用者でほぼ毎回実施されていた。生活環境の確認・調整よりも日常生活動作練習・指導が多かった者は維持群37.5%に対し拡大群は91.7%で,拡大群は有意に高い割合となった。【結論】訪問リハ利用者の生活空間拡大には,訪問リハ実施内容および同居家族の有無が関連していた。担当者が日常生活動作練習・指導を多く実施している場合,生活空間の広がりが大きくなることが示唆された。

収録刊行物

詳細情報

  • CRID
    1390282680554506624
  • NII論文ID
    130005418460
  • DOI
    10.14900/cjpt.2015.1436
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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