人類を含む霊長類の重層社会の形成をめぐって

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  • 河合 香吏
    東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所

抄録

<p>日時:2016年7月15日(金)17:25-20:05</p><p>場所:理学部1号館大会議室</p><p><br></p><p>人類は群居性動物である霊長類の一員として、集団で生活する方途をさまざまに進化させてきた。現代のわれわれは、家族、仲間、地域社会、職業集団、国家、国際社会等、重層的で複雑に絡み合い、しばしば巨大な集団の中に生きている。本集会では、人類を含む霊長類の事例に焦点を絞り、人類と近縁の大型類人猿の社会に明瞭には認められない重層社会なる社会形態の形成について議論したい。話題提供には、松田一希「コロブス類の重層社会:ヒヒ類と比較して」、杉山祐子「(仮)姉妹になるか母になるか:焼畑農耕民の離合集散と社会の重層化を考える」、寺嶋秀明「(仮)ヒトは誰と一緒にいたいのか?:狩猟採集民の生態と社会から考える」、中川尚史「(仮)初期人類の重層社会についての新説:霊長類学の立場から」を予定している。</p><p>本集会を企画した背景には「人類社会の進化史的基盤研究」と題する共同研究(於東京外国語大AA研)がある。霊長類社会/生態学、生態人類学、社会文化人類学の3分野を中心に、「集団」「制度」「他者」「生存・環境・極限」とテーマを展開しながら議論を続けてきた。その一貫した目的のひとつは、人類の社会性Socialityの進化的な解明にある。社会性とは、他者(他個体)と相互に関係しつつ同所的に存在する能力、つまり集団をなして生きる能力であり、集団の中で複数個体の共存を保証する能力のことである。より複雑な集団の生成には、諸制度(規範やルール、コンヴェンション等を含む)の生成も必要であったはずだ。重層社会もまた、そうした複雑な集団のありかたと言えよう。初期人類はどのような集団を形成していたのだろうか。それはどのような能力や傾向の獲得と関連していたのか。生息環境とはどのような関係にあったのだろうか。初期人類の社会を見据えつつ、現生の人類以外の霊長類と現生の人類の重層社会の両面から、家族の起原や社会性の進化についても議論したい。</p><p><br></p><p>責任者:河合香吏(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)</p><p>連絡先:kkawai@aa.tufs.ac.jp</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680610462848
  • NII論文ID
    130005418737
  • DOI
    10.14907/primate.32.0_15
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
    • KAKEN
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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