中国・黒河流域の灌漑地域におけるトレーサー手法による地下水涵養プロセス

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タイトル別名
  • Groundwater Recharge Process Revealed by a Tracer Approach in an Irrigated Area of Heihe River Basin, Northwest China
  • チュウゴク ・ クロ カリュウイキ ノ カンガイチイキ ニ オケル トレーサー シュホウ ニ ヨル チカスイカンヨウプロセス

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抄録

 半乾燥地域に位置する中国・黒河流域の灌漑農業地域において,広域の地下水の水質特性および涵養・流動プロセスを解明することを目的として,トレーサー手法を用いた水文調査を2008年9月に実施した.灌漑農業地域の上流域においては,地下水の無機溶存イオンおよび安定同位体比が,河川水におけるそれと類似していることから,黒河本流河川を起源とした灌漑水により地下水が涵養されていることが考えられた.中流域の地下水における安定同位体比,トリチウム濃度は,河川水におけるそれと類似したもの,および相対的に低いものがみられ,灌漑を通じた本流河川水による地下水涵養に加え,他の水源による涵養プロセスの存在が示唆された.祁連山脈北東麓からの支流河川における安定同位体比が黒河本流河川水のそれに比べて低いこと,また降水の安定同位体比における高度効果の勾配が流域毎に異なることから,中流域における地下水涵養源として支流河川が重要であることが示された.また中流域における地下水形成には,祁連山脈北東麓からの支流河川を起源とする滞留時間の長い地下水と,河川水を起源とする滞留時間の短い地下水の,2つの成分が重要であることが示唆された.

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