検診マンモグラフィにて発見された乳腺Pure Tubular Carcinomaの1例

  • 大塚 博紀
    社会医療法人財団石心会さやま総合クリニック健診センター
  • 大野 香
    社会医療法人財団石心会さやま総合クリニック健診センター
  • 荒川 奈緒美
    社会医療法人財団石心会さやま総合クリニック健診センター
  • 原田 亜里沙
    社会医療法人財団石心会さやま総合クリニック健診センター
  • 菅野 荘太郎
    社会医療法人財団石心会さやま総合クリニック健診センター
  • 杉山 迪子
    社会医療法人財団石心会埼玉石心会病院乳腺・内分泌外科
  • 児玉 ひとみ
    社会医療法人財団石心会埼玉石心会病院乳腺・内分泌外科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Pure Tubular Carcinoma of the Breast Detected by Mammographic Screening

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抄録

乳腺管状癌(tubular carcinoma: TC)は全乳癌の1%程度までとされ,稀である。WHOのClassification of Tumours of the Breast (2012)では腫瘤のほとんどが管腔構造である“Pure Tubular Carcinoma"(PT)と他の構造が混在する“Mixed Type of Tubular Carcinoma”に分類される。検診マンモグラフィ(MMG)で発見されたPTの1例を経験した。70歳代前半,女性。視触診とMMGの検診にて,視触診で右C領域に不整形で弾性硬な2 cm程の腫瘤を触知し,MMGで右C領域に構築の乱れの疑い(カテゴリー3)とされた。乳房超音波(US)にて右10時方向に8 mm程の後方エコーの減弱を伴う不整形の低エコー腫瘤像を認め,周囲に血流表示も認めた。MRIやCTでは遠隔転移認めず。乳房内にもその他の病変を認めなかった。吸引細胞診は陰性であったが,針生検にて硬癌またはTCと診断された。乳房切除術およびセンチネルリンパ節(SN)生検(Bt+SLNB)を施行し,SN陰性であった。最終病理診断はPT (T1N1M0,Stage IIA)であった。術後,アロマターゼ阻害薬内服後2年を経過するが再発の兆候は認めない。本症例は,過去の報告と比較するとやや高齢(70歳代前半)で,TCのMMG所見としてよく報告されたスピキュラは判然としなかったが,PTの特徴として報告されているMMG上の腫瘤非形成や石灰化を伴わない点には合致していた。US所見はTCに特異的な所見ではなかったが,悪性を強く疑わせる所見であった。

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参考文献 (12)*注記

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