キチンをほぐす科学の今昔

DOI
  • 井澤 浩則
    鳥取大学大学院工学研究科化学・生物応用工学専攻

抄録

<p>カニ殻に含まれるキチンは様々な分野で有効活用が期待されている有望な天然多糖である。しかし,キチンは強い水素結合に起因する難溶性・難分散性が問題となり,その産業応用は未だに限定的である。本講座では,キチンの有効活用を可能にする『キチンをほぐす科学』に重点を置いて解説をする。古くから知られている酸や,塩を含む有機溶媒のキチンの溶解原理やそれらの問題点に触れた後に,近年,盛んに研究が行われているキチンを溶解するイオン液体について紹介する。キチンをほぐす科学は,溶媒の力でキチンを溶媒和させるだけに限らない。キチン粉末を適切な設備を用いて物理的にほぐすことで,キチンナノファイバーの水分散液を得ることができる。このキチンナノファイバーは,加工性・成形性にすぐれており,昨今のキチン研究におけるブレイクスルーである。キチンナノファイバーの製造方法・原理やその産業応用についても紹介する。</p>

収録刊行物

  • 化学と教育

    化学と教育 64 (4), 184-187, 2016

    公益社団法人 日本化学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679284096000
  • NII論文ID
    130005434001
  • DOI
    10.20665/kakyoshi.64.4_184
  • ISSN
    24241830
    03862151
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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