IgA 腎症の病態における扁桃T細胞の役割

DOI
  • 高原 幹
    旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室

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タイトル別名
  • The role of tonsillar T-cells in the pathogenesis of IgA nephropathy

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抄録

IgA 腎症の病態に IgA 免疫複合体の腎糸球体への沈着が強く関与していることは疑いがない. しかし, 複合体沈着後の T 細胞の浸潤も腎炎の形成, 維持に重要であることも知られている. IgA 腎症での腎浸潤T細胞は20種のT細胞受容体 (TCR) VβファミリーのうちTCR Vβ6, 8の発現が高い事が報告されている. われわれは IgA 腎症扁桃 T 細胞の T 細胞受容体 (TCR) レパトア解析を行った. その結果, IgA 腎症の扁桃 T 細胞, 末梢血 T 細胞では TCR Vβ6の発現が増加していることが判明した.<br> さらに扁桃における T 細胞上に発現する代表的なケモカインレセプターの発現を検討した結果, IgA 腎症扁桃では CXCR3 陽性 T 細胞の出現頻度が高いことを見出した. IgA 腎症では腎糸球体周辺の尿細管間質へ CXCR3 陽性T細胞が浸潤しており, その浸潤の程度と腎機能低下に相関があったとの報告がある. 従って, IgA 腎症の腎生検組織の CXCR3 陽性細胞数と扁桃での CXCR3 陽性細胞数を検討したところ, 正の相関が認められた.<br> このことから, 扁桃の TCR Vβ6, CXCR3 陽性扁桃T細胞が, 体循環を経て腎臓に浸潤する可能性が示唆された.

収録刊行物

  • 口腔・咽頭科

    口腔・咽頭科 27 (1), 25-28, 2014

    日本口腔・咽頭科学会

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