菌血症診断におけるプロカルシトニンの有効性の検討

  • 波多野 俊之
    名古屋大学大学院医学系研究科救急・集中治療医学分野
  • 松田 直之
    名古屋大学大学院医学系研究科救急・集中治療医学分野
  • 井口 光孝
    名古屋大学医学部附属病院中央感染制御部
  • 八木 哲也
    名古屋大学医学部附属病院中央感染制御部
  • 江嶋 正志
    名古屋大学大学院医学系研究科救急・集中治療医学分野
  • 足立 裕史
    名古屋大学大学院医学系研究科救急・集中治療医学分野
  • 沼口 敦
    名古屋大学大学院医学系研究科救急・集中治療医学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Procalcitonin evaluation in the diagnosis of bacteremia: a retrospective observational study

抄録

【目的】菌血症におけるプロカルシトニン(procalcitonin, PCT)の初期診断での有用性について,後方視的に解析した。【方法】2012年11月から2013年6月までの8ヶ月間において当院で血液培養検査が陽性となりPCTが測定されていた132例を調査対象とし,検出菌,PCTおよびC反応性蛋白(CRP)との関連性を評価した。【結果】感染症専門医により,菌血症102例,contamination(擬陽性)30例と判断された。菌血症と擬陽性でPCT(ng/ml)とCRP(mg/dl)の中央値は,それぞれ2.8と0.3,13.2と7.0であり,菌血症で有意に高かった(P<0.001,P=0.020)。ROC-AUC(receiver operating characteristic-area under the curve)(95%CI)は,PCT 0.76(0.65~0.86),CRP 0.64(0.52~0.76)だった。一方,菌血症の原因菌別でグラム陽性菌(n=48)とグラム陰性菌(n=54)のPCTは,それぞれ2.1と3.7で有意差を認めなかった(P=0.123)。【結論】PCTはCRPと比較して真の菌血症と擬陽性の鑑別に役立つと評価された。しかし,菌血症におけるグラム陽性菌とグラム陰性菌を鑑別できるものではなかった。

収録刊行物

参考文献 (16)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ