ミシン刺繍における糸切れについて

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タイトル別名
  • Thread breakage in embroidery sewing

抄録

【目的】ミシン刺繍では刺繍作業中に糸切れが発生することがある。刺繍は基布に刺繍糸を縫いこんでいくが、その過程において糸が多層に重なり合う場所も存在する。したがってミシン刺繍は、通常の縫合縫製と比べ糸の負担が大きくなることが予想される。しかし、糸切れの原因については、縫糸メーカーや、ミシンメーカーにおいても特定されていないと言われている。そ二で、ミシン刺繍による糸切れの原因究明を行った。【実験】刺繍ミシンはジャノメメモリークラフト10000、基布はデニムを使用した。刺繍糸は、各種メー力ー製6種、色別を15種用いた。糸切れの発生し易いパターンを用いた糸切れの状況、円形等の基本的パターンを用いた糸の寄り戻り、さらに糸の物性も調べた。【結果】糸切れの原因は熱による溶断ではなく、機械的損傷であることが切断面の観察から分かった。糸の色に関しては、白やベージュなどの淡色系に比して黒や紫の濃色系は糸切れしやすかった。糸の種別(メーカー別)では、糸切れし易い糸とし難い糸に分けると、糸切れしやすい糸は撚が甘く擦過強度比(擦過による損傷比)が大きかった。糸切れし難い糸はその逆であった。ただし、撚が強く、擦過に強くても原糸がアクリルの刺繍糸の場合には糸切れし易かった(他はポリエステル糸が使用されている)。これは素材の弱さにその原因があると思われる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205561506688
  • NII論文ID
    130005440311
  • DOI
    10.11428/kasei.55.0_188_2
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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