ナミビア農牧社会における大雨洪水災害と農牧民の対処
書誌事項
- タイトル別名
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- Coping behavior for food security by agro-pastoralists in semi-arid Namibia under heavy rain and flood disaster
抄録
アフリカの半乾燥地域では、降水量の経年変動が激しく、多くの地域で洪水や干ばつなどの気象災害が状態的に発生している。南部アフリカに位置するナミビア共和国北部からアンゴラ共和国南部の半乾燥地域においても、ここ数年間、降水量が平年以上に多くなる傾向がみられ、ナミビアでは2007/08年および2008/09年、2010/11年に大規模な大雨洪水災害が発生し、国家非常事態宣言が発令された。この地域には、農牧民オヴァンボが暮らし、トウジンビエを主作物とする農耕を営んでいる。トウジンビエは乾燥に強い半面、湿害に対しては極めて弱く、水に浸かると大きな被害が生じることが知られている。そのため、近年の大雨洪水災害が頻発するなかで、住民の食料確保に大きな影響が生じているとみられる。本研究では、ナミビア北部の農村において近年頻発している大雨や洪水が農村においていかなる被害をもたらしたのかを検討し、同時に本地域に暮らす農牧民オヴァンボの人々がこのような災害に対して食料獲得の点でいかなる対処をしたのかを明らかにすることを目的とした。結果は以下のとおりであった。(1)大雨と洪水被害:2008/09年では、農地が立地する微高地では大雨による農地の冠水が発生し、季節河川周辺では洪水による農地の冠水がみられた。こうした被害は、農地の立地環境による世帯差が大きい傾向が見られ、季節河川周辺や凹地状の地形に農地が立地する世帯では農地の70%程度が冠水した世帯がみられた一方で、条件のよい場所では、冠水がほとんどみられなかった世帯もあった。また、一部の世帯では穀物を保存する穀物庫の一部が冠水し、それによって食料を失う世帯がみられた。(2)気象災害に対する事前対処:調査村の多くの世帯では、前年や前々年に収穫したトウジンビエの余剰分を貯蔵していた。聞き取りによると、世帯の多くは余剰のトウジンビエを販売することをせずに貯蔵していた。その理由として、気象災害に対する備えということを述べていた。一部の世帯では数年分のトウジンビエを貯蔵しており、これらのトウジンビエを利用することで災害年の食料を確保していた。(3)気象災害に対する事後対処: 聞き取り調査の結果、大雨洪水被害が大きかった2008年、2009年には、3割程度の世帯がトウジンビエを外部から入手する対処行動をとっていた。その行動には、購入、他世帯からの贈与、物々交換がみられ、特に低所得世帯では魚や家畜の肉などによる物々交換を活発に利用していることが明らかとなった。
収録刊行物
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- 日本地理学会発表要旨集
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日本地理学会発表要旨集 2012a (0), 100140-, 2012
公益社団法人 日本地理学会
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詳細情報
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- CRID
- 1390282680673226112
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- NII論文ID
- 130005456942
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可