筑波研究学園都市における産学官連携の空間的展開
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- 遠藤 秀一
- 東京大学
書誌事項
- タイトル別名
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- Spatial dynamics of the industry-academia-government collaboration in Tsukuba Science City
抄録
グローバルな産業立地競争がますます進む中,国内企業はイノベーションによって新たな競争力を獲得していくことが重要となってくる.このような状況の下で産学官連携は,継続的な経済発展をもたらすようなイノベーション・システムとして有効であると考えられる.これまで地理学の研究においては,イノベーションには大学や研究機関など集積内のアクター同士の地理的な近接性が重要であるとの見方が示されてきた.しかし,Boschma(2005)が,極度の近接性は学習やイノベーションの創造性に悪影響を及ぼすことを指摘することで,近接性とイノベーションについて批判的な見解を示しているように,近接性や集積はそれほど重要ではないと主張する研究もあり,イノベーションと空間との関連性については未だ十分な検証が成されているは言えない(佐藤,2006).本発表では,1980年に国家主導で形成され,数多くの国立研究機関と民間研究機関が地理的近接性を持って立地している筑波研究学園都市における国立研究機関を中心とした産学官連携の空間的な展開を,民間研究機関の動態的な動きや学園都市地域へのインパクトと課題を踏まえながら考察していく.1963年の閣議決定以降,1982年までに国立研究機関が集中移転し,研究・工業団地も1997年までに9つ整備されている.2011年時点で,国立研究機関と民間研究期機関をあわせて300近くが立地しており,中でも民間研究機関の立地の動きは非常に大きい.民間研究機関は,国立研究機関との連携や交流を期待して立地していることが既存研究では示され,1980年代後半において大幅な増加を示している.しかし,1990年代後半には,早くも減少に転じ,近年でも大手企業の研究拠点閉鎖が目立つなどその傾向は変わっていない.さらに,研究所の縮小,事業所への機能変更も見られる.これらの特徴として,外資系や医薬品関連の業種が目立つこと,立地機関の本社所在地が東京に多いことが挙げられる.撤退等の理由は,医薬品業界の競争の激化,日本での研究活動におけるメリットの少なさが挙げられる.また,それらの撤退企業のその後は,国内外の自社研究所,サイエンスパークへの移転・統合を進める動きが見られる.このように「筑波の衰退」が進んでいることがいえる一方で,筑波では,独立行政法人化以降,国立研究期機関などの研究体制が変化し,産学官連携の新たな体制が構築されつつある.
収録刊行物
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- 日本地理学会発表要旨集
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日本地理学会発表要旨集 2012s (0), 100178-, 2012
公益社団法人 日本地理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680673458432
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- NII論文ID
- 130005457204
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可