小児悪性固形腫瘍経験者のトランジションの現状:施設経験

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  • Status of transition of care for pediatric malignant solid tumor survivors in a single institute

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抄録

<p>小児悪性固形腫瘍経験者の成人診療科へのトランジションについての現状報告は少ない.外来転帰を調査し,現状と方策について検討した.2004年に当科を外来受診した15歳以上の悪性固形腫瘍経験者42例(男性21例,女性21例) を対象とし,2014年までの10年間の診療経過を診療録より後方視的に検討した.疾患内訳は,神経芽腫11例,ウィルムス腫瘍10例,胚細胞腫瘍6例,肝芽腫5例,膵腫瘍5例,その他5例である.小児がん治療後の長期フォローアップガイドラインに基づくフォローアップレベル (FL) は,FL1:7例 (17%),FL2:2例 (5%),FL3:21例 (50%),FL4:1例 (2%),FL5:11例(26%)だった.外来転帰は,脱落17例(40%),トランジション11例(26%),継続診療中9例(21%),終診・その他5例(12%)だった.脱落症例のうち13例(76%)はFL3以上で成人期以降も継続診療を行うことが望ましい症例だった.トランジションした症例のうち9例(82%)はFL5であり,腎不全や心不全,高血圧,ウィルス性肝炎など成人診療科での専門治療が必要な合併症を認めた.継続診療している症例の多くはFL3以上であるが合併症がなく,成人診療科との接点がなかった.FL3以上で合併症がない症例のトランジションは円滑とは言えず,診療情報が途絶する可能性がある.思春期以降の患児にはトランジションを見据えた診療を行うべきであり,早期の移行教育と円滑な診療体制の構築が必要である.</p>

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