心血管機能解析によるナノマテリアルの特性評価

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  • Characteristic evaluation of nanomaterials by analysis of cardiovascular function

抄録

【目的】経皮・経口曝露によるナノマテリアル(NM)の体内動態は、皮膚や腸管から取り込まれ循環血から全身へ分布する。本研究では心血管機能へのNMの影響に着目し、in vitro、ex vivo、in vivoでの心血管機能解析を進めている。本発表では、医薬品や化粧品基材に用いられているシリカ・銀・酸化亜鉛のナノ粒子をモデル材料に細胞内遊離Ca2+調節、血管弛緩・収縮調節、血圧動態への影響について報告する。<br>【材料】シリカは、一次粒子径が30nm(nSP30)、70 nm (nSP70)、300 nm(nSP300)及び1000 nm(mSP1000) の粒子を用いた。銀は、一次粒子径が70 nm(AgNPs-70)の粒子を用いた。酸化亜鉛は、100 nm(nZnO100) の粒子を用いた。<br>【方法】細胞内遊離Ca2+調節の解析は、ウシ大動脈内皮細胞BAECを用い、蛍光プローブ(Fluo 4)によるCa2+をイメージングし、共焦点レーザー走査型顕微鏡FV1000により観察した(全材料を解析)。血管弛緩・収縮調節の解析は、Wistar系雄性ラットの摘出胸部大動脈を用い、フェニレフリン収縮条件下での血管弛緩をマグヌス法により評価した(全材料を解析)。血圧動態の解析は、BALB/c雄性マウスを用い、腹腔及び頸静脈から単回投与し1、2、7日後の心拍数と収縮期血圧をtail-cuff法により測定した(nZnOのみ解析)。<br>【結果・考察】BAECの細胞内遊離Ca2+濃度は、ATP処置により増加する。BAECへのnSP30、nSP70、AgNPs-70曝露は、ATPと同様に細胞内遊離ca2+を増加させ、その他粒子による影響は観察されなかった。血管は、フェニレフリン処置により収縮し、アセチルコリン処置により弛緩する。血管へのnSP30、nSP70曝露は、アセチルコリンと同様に血管を弛緩させ、AgNPs-70、nZnO100曝露は一過性の血管弛緩であり、その他粒子は、血管弛緩・収縮への影響は観察されなかった。BALB/cマウスの収縮期血圧は、nZnO100の単回投与により上昇し、2日後まで高血圧状態が続いた。一方、心拍の乱れや増減は観察されなかった。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680525214336
  • NII論文ID
    130005468581
  • DOI
    10.14869/toxpt.41.1.0_o-32
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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