血管内皮細胞においてメタロチオネイン遺伝子の発現を誘導する有機アンチモン化合物
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- 村上 正樹
- 東京理科大学薬学部
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- 藤江 智也
- 東京理科大学薬学部
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- 松村 実生
- 愛知学院大学薬学部
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- 藤原 泰之
- 愛知学院大学薬学部 東京理科大学総合 研究機構バイオオルガノメタリクス研究部門
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- 木村 朋紀
- 東京理科大学総合 研究機構バイオオルガノメタリクス研究部門 摂南大学薬学部
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- 安池 修之
- 愛知学院大学薬学部 東京理科大学総合 研究機構バイオオルガノメタリクス研究部門
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- 山本 千夏
- 東京理科大学総合 研究機構バイオオルガノメタリクス研究部門 東邦大学薬学部
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- 佐藤 雅彦
- 愛知学院大学薬学部 東京理科大学総合 研究機構バイオオルガノメタリクス研究部門
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- 鍜冶 利幸
- 東京理科大学薬学部 東京理科大学総合 研究機構バイオオルガノメタリクス研究部門
書誌事項
- タイトル別名
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- Metallothionein gene expression induced by an organoantimony compound in vascular endothelial cells
抄録
【背景・目的】有機金属化合物はそれを構成する分子構造や金属イオンとは異なる生物活性を持ち得るため,生命科学への活用が期待される。メタロチオネイン(MT)は有害重金属の毒性軽減などに関与するが、誘導機構には不明な点が多い。本研究では,有機アンチモン化合物ライブラリーから見出された化合物(Sb35)によるMT誘導の特性について,ウシ大動脈由来血管内皮細胞(BAE)を用いて調べた。<br>【方法】BAEをSb35で処理し,MTサブタイプおよびMTF-1 mRNAの発現をReal-Time RT PCR法により評価した。金属応答配列MREおよび抗酸化応答配列AREの活性をDual Luciferase Assayにより測定した。<br>【結果・考察】Sb35は,BAEが発現するMTのすべてのサブタイプ(MT-1A,MT-1EおよびMT-2)のmRNA発現を濃度依存的に増加させたが,MREを顕著に活性化しなかった。しかしながら,転写因子MTF-1をノックダウンすると,すべてのMTサブタイプの発現が抑制された。一方,Sb35は転写因子Nrf2を活性化し,AREを強く活性化した。そこでNrf2をノックダウンしたところ,MT-1AおよびMT-1EのmRNA発現が有意に抑制された。MT-2の発現には変化は認められなかった。以上の結果より,Sb35はすべてのMTサブタイプの遺伝子発現を誘導するが,MT-1AおよびMT-1Eの誘導はMTF-1-MRE経路とNrf2-ARE経路の両方に介在されること,これに対しMT-2の誘導はNrf2-ARE経路に依存せず,MTF-1-MRE経路に介在されることが示唆された。Sb35がNrf2の活性化によってサブタイプ選択的にMT遺伝子の発現を誘導することは,この有機アンチモン化合物がMTの誘導機構解析の有用なツールであることを示している。
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 41.1 (0), P-2-, 2014
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680524131456
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- NII論文ID
- 130005468659
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可