東京臨海部における土地利用変化プロセスとそのドライビングフォース:東京都港区海岸地区を事例に The process of the land use changes and their driving forces:A case study of Kaigan area, Minato-ku, Tokyo Metropolis

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Author(s)

    • 太田 慧 OTA Kei
    • 首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域 Tokyo Metropolitan Univ.

Abstract

1.研究目的 本研究は,都市臨海部における土地利用変化プロセスとそのドライビングフォースを,時間的・空間的観点から明らかにしたものである.大都市臨海部における土地利用は,港湾を核とした物流機能が卓越し,都市住民の生活を支える場として機能してきた.ところが,コンテナ化による港湾物流システムの変化は,従来の埠頭地域の陳腐化や荒廃をもたらし,これらを改善するために,旧来の臨海部にオフィスビルや住宅,商業,文化,レジャーなどの機能を創出するための再開発が行われるようになってきた.しかし,臨海部での急速な土地利用変化は,地域の景観を劇的に変化させ,従来の地域アイデンティティを喪失するという問題点も内包している.以上のことから,本研究は東京臨海部の土地利用をミクロな視点でとらえ,都市臨海部における土地利用の機能変化プロセスのドライビングフォースを時間的・空間的な観点から明らかにすることを研究目的とした. 2.研究手法と研究結果 東京臨海部の土地利用の経年変化を把握する目的で,細密数値情報10mメッシュ統計を用いてマクロスケールにおける土地利用を分析した.その結果,東京都港区海岸地区は1984年以降急速な土地利用変化が発生したことが明らかになった.そこで,より詳細な土地利用変化のプロセスを把握する目的として,東京都港区海岸地区を研究対象地として設定し,よりミクロなスケールで土地利用分析を行った.東京都港区海岸地区は,隅田川河口部・東京湾北西部に位置し,北から順に1丁目,2丁目,3丁目という3つの丁目から構成されている.海岸地区には竹芝埠頭,日の出埠頭,芝浦埠頭が立地し,海岸地区は1941年の東京港開港以来,埠頭に隣接する物流拠点として倉庫用地が卓越する土地利用となっていたが,1980年代中期からの再開発によって急速な土地利用変化がおこった.以上をふまえ,①再開発の波にさらされる直前の1985年,②バブル期の再開発計画が一通り完了した1996年,③1990年代後半の都心の人口回帰現象とその後のさらなる再開発を経た2012年を対象に土地利用のメッシュ図を作成した.1985年から1995年にかけては,再開発の影響で海岸1丁目における低・未利用地や余暇・業務用地の増加がみられた一方で,倉庫用地の減少が確認された.海岸2丁目においても同様の傾向がみられたが,貨物線廃止にともなう鉄道関連施設の減少が顕著にみられる.一方,海岸3丁目においては,従来の土地利用の機能が維持されている傾向がみられ,倉庫用地の維持が他地域よりも顕著であった.さらに,1996年から2012年にかけては,バブル期の再開発で一時的に増加した低・未利用地が減少し,住宅地や商業用地が増加した.この傾向は海岸1丁目において特に顕著であった.海岸3丁目においては,倉庫用地は維持されているものの,その割合は減少傾向であった.3.考察これらの土地利用変化に寄与した社会,経済,政策のドライビングフォースをそれぞれに把握するために,人口,地価,産業別人口,入港船舶の船種別統計の各種統計情報を分析した結果,次のような傾向が明らかになった.①1980年代初頭における海岸地区の安価な地価が再開発を促進した.②1980年代中期から臨港地区内の土地利用変化(港湾の再編)が始まり,1990年代以降に隣接後背地の土地利用変化へと波及した.③港湾の機能変化に応じて,隣接後背地の土地利用が既定された.④1990年代後半以降,都心の人口増加という社会的要因によって,臨海部の低・未利用地が住宅地へと変化した.⑤運河によって隔てられた行政区分ごとに,ドライビングフォースに対する土地利用変化の反応が異なる傾向がみられた.

The process of the land use changes and their driving forcesin the waterfront area;A case study of Kaigan area, Minato-ku, Tokyo Metropolis

Journal

  • Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers

    Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers 2013s(0), 55, 2013

    The Association of Japanese Geographers

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