富士山亜高山帯におけるニホンジカの被害状況の発生年度による違い

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タイトル別名
  • Damage of <i>Abies veitchii</i> do to bark strip by sika deer in the south slope of the subalpine region on Mt. fuji

抄録

近年、富士山亜高山帯ではニホンジカの行動圏が高標高域に拡大している。今後、シカの個体数がさらに増加することによって、森林の遷移・更新が妨げられる可能性がある。本研究ではシカによる植生の被害状況が標高別に評価することを目的として、富士山南斜面(静岡県側)の3地点(2350 m、2025 m、1785 m)に調査区を作成し、植生調査を行った。調査区内の樹高30 cm剥皮の状況を記録した。<br>標高1785 mではウラジロモミが山地帯落葉広葉樹と混生していた。 2025 mではシラビソが優占種の亜高山帯針葉樹であり、2350 mはカラマツが高木層で、亜高木層はシラビソ多く、遷移の途中とみなされた。シカによる剥皮はシラビソ、ウラジロモミ等のモミ属に多く見られた。また、発生年度を見ると、低標高ほど古く、1785 mでは25年ほど前から、剥皮を受けていた。ここではすでに低木層が存在せず、大径木の根張りが剥皮を受けるほど被害は深刻であり、低標高ではすでにシカが森林の更新を妨げられているといえる。また、2350 mで今後、20年ほどすれば、森林の遷移が阻害される可能性がある。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205711064064
  • NII論文ID
    130005474384
  • DOI
    10.11519/jfsc.125.0_368
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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