熱帯アカシア類およびマメ科草本のリン利用
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- 稲垣 昌宏
- 森林総合研究所九州支所
書誌事項
- タイトル別名
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- Phosphorus use in tropical <i>Acacia</i>s and some leguminous grasses
抄録
熱帯地域においては、リンが植物の成長制限要因となる場合が多い。共生的窒素固定をおこなう植物は、窒素固定を行なうために窒素よりもリンの要求が大きいと考えられてきた。しかし、最近の研究では、熱帯生のアカシアや牧草においてリン制限耐性があることが報告されている。本報告では、熱帯のアカシア類や草本類のリン制限耐性に関する結果を整理し、熱帯環境下においてどのように適応しているかについて考察する。マメ科の樹木や草本類は根圏から酸性フォスファターゼを他の植物よりも多く放出する傾向にある。砂漠地帯に生息するアカシア類では、難分解性の鉄結合態リンを、根系から放出される有機酸を用いて利用していることが報告されている。アカシアマンギウムの生葉のN:P比は他樹種よりも高いが、落葉時にはリンを選択的に再吸収することによって生葉の3倍程度までN:P比が上昇する。さらに、同じバイオマス量で比較した場合、アカシア類の地上部リン蓄積量は窒素固定を行なわない広葉樹と比べ有意に少ない。以上の例から、一部の熱帯生の窒素固定種はリンの調節機構が卓越しており、リン制限になりやすい熱帯環境下での成長を有意にしていると考えられた。
収録刊行物
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- 日本森林学会大会発表データベース
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日本森林学会大会発表データベース 125 (0), 624-, 2014
日本森林学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680685181312
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- NII論文ID
- 130005474619
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可