精子頭部及び尾部の形成異常を呈するENU誘発ミュータントマウス(<i>repro20, 21</i>)の原因遺伝子の同定

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抄録

未知の遺伝子の変異により精子の頭部形成に異常を呈する2系統のミュータントマウス (repro2021) の原因遺伝子の同定を目的とした。各系統の表現型を引き起こす原因遺伝子の染色体上の位置は既に特定されており,repro20では第9番染色体29-50 Mが,repro21では第17番染色体18-45 Mが候補領域であることが示唆された。そこで,次世代シーケンサーを用いたエクソーム解析を行い,得られた多型情報をデータベース配列と比較することで,各ミュータントマウスに特異的な塩基配列の抽出を試みた。その結果,候補領域内にrepro20では35個,repro21では101個の新規多型が同定された。この内,ナンセンス変異やミスセンス変異などのタンパク質の機能に大きく影響することが示唆される多型は各系統でそれぞれ3個存在した。続いて,repro2021で同定された新規多型の系統特異性を,正常マウスを比較対象とし,PCR-RFLP法及びサンガー法による塩基配列決定により確認した。その結果,各系統でそれぞれ2個の多型が系統特異的な塩基配列であることが示された。repro20で同定された系統特異的な塩基配列はSc5d及びSt14遺伝子上に存在するミスセンス変異であり,repro21ではDnahc8遺伝子上に存在するナンセンス変異及びZfp414遺伝子上に存在するミスセンス変異が系統特異性を示した。既往の報告により詳細は不明であるがSc5d及びDnahc8遺伝子が精子形成に関与することが示唆され,これらがrepro20及びrepro21表現型の候補原因遺伝子であることが強く示唆された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205716635520
  • NII論文ID
    130005475138
  • DOI
    10.14882/jrds.107.0_or1-2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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