ナミビア北部地域におけるイネ・ヒエ混作栽培導入に向けた蒸発散特性の解析

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis of characteristics of evapotranspiration in northern Namibia for introducing the mixed cropping of rice and pearl millet

抄録

半乾燥地域であるナミビア北部地域において、従来作物生産に利用されることのなかった季節性湿地を有効活用する方法として、新規作物としてイネを導入し、ヒエと混作させる栽培技術が検討されている。乾燥に強く当地の主食であるトウジンビエと、湛水状態でよく生育し、古くから日本で研究が進められているイネを同時に育てることにより、洪水と干ばつのどちらが発生した場合でも、安定した食糧供給を目指すための試みである。本研究では、ナミビア北部地域に出現する季節性湿地での混作栽培導入に向けて、イネとヒエの混作栽培時の蒸発散特性を明らかにすることを目的とした。蒸発散特性を明らかにする手法として、Jarvis型モデルを用いて解析を行った。<br> ナミビア北部に位置するナミビア大学オゴンゴキャンパス内(南緯17° 40' 49″、東経15° 18' 11″、標高約1100m)に、季節性湿地を模した試験圃場を設置した。熱収支測定システムを2サイト(Upperサイト、Lowerサイト)設営し、それぞれ観測を開始した。解析期間は、2012年9月12日から2013年9月11日の1年間とした。各サイトで、純放射量Rn、下向き短波放射(日射)量Sd、気温Ta、飽差VPD、地中熱流量G、風速Ws、土壌水分量SWCを測定した。<br> Jarvis型モデルを用いて各サイトの各環境要因と表面コンダクタンスGsの関係を検証したところ、モデルの精度は低かった。この原因の1つとして、SWCの連続測定データがないことが考えられ、Gsの限定要因としてSWCの寄与が小さくない可能性が示唆された。そこで、f4(SWC)estと実測値を用いて算出したf4(SWC)の関係をみたところ、どちらのサイトも、f4(SWC)estf4(SWC)と近い値をとった。これより、GsへのSWCの影響を考慮する必要があることが分かった。 <br> 今後、SWCの連続測定が可能になれば、Jarvis型モデルを用いて当サイトの蒸発散特性を表せる可能性が高く、混作栽培導入に向けて重要な知見を提供できる。本観測期間は厳しい干ばつ年であったため、今回の結果に加えて、豊水年や平水年も含めた様々な環境条件で、当サイトの蒸発散特性に対して、混作栽培の影響がどのように出てくるのかに関する観測と解析が必要である。

収録刊行物

詳細情報

  • CRID
    1390282680688949888
  • NII論文ID
    130005482019
  • DOI
    10.11520/jshwr.27.0_100105
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ