活性イオウ分子と酸化ストレスが介在する1,2-ナフトキノンによる可逆的なKeap1-Nrf2経路の活性化 Reactive sulfur species-mediated activation of the Keap1-Nrf2 pathway by 1,2-naphthoquinone through sulfenic acids formation under oxidative stress

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著者

    • 新開 泰弘 SHINKAI Yasuhiro
    • 筑波大学医学医療系環境生物学分野|筑波大学大学院人間総合科学研究科 Environmental Biology Laboratory, Faculty of Medicine, University of Tsukuba|Graduate School of Comprehensive Human Sciences, University of Tsukuba
    • 三浦 高 MIURA Takashi
    • 筑波大学大学院人間総合科学研究科 Graduate School of Comprehensive Human Sciences, University of Tsukuba
    • 熊谷 嘉人 KUMAGAI Yoshito
    • 筑波大学医学医療系環境生物学分野|筑波大学大学院人間総合科学研究科 Environmental Biology Laboratory, Faculty of Medicine, University of Tsukuba|Graduate School of Comprehensive Human Sciences, University of Tsukuba

抄録

【目的】我々は最近、生体内における過硫化物や多硫化物に代表される活性イオウ分子種産生の実態を明らかにした。<sup>1)</sup> 本発見より、SH基付加反応を介して親電子物質の代謝に重要な役割を担っていることが予想された。本研究では、大気中親電子物質である1,2-ナフトキノン(1,2-NQ)が活性酸素種(ROS)を産生する性質を持つことに着目し、活性イオウ分子とROSが介在する可逆的な親電子シグナルの活性化を明らかにすることを目的とした。1) Ida T et al., PNAS, 111: 7606-7611 (2014)【結果・考察】A431細胞を1,2-NQH<sub>2</sub>-SHの前駆体である1,2-dihydroxynapthalene-4-thioacetate (1,2-NQH<sub>2</sub>-SAc)に曝露すると、このものは細胞内で速やかに水解して1,2-NQH<sub>2</sub>-SHに変換され、ROSの産生が増加した。1,2-NQH<sub>2</sub>-SAcはジメドンと反応して複合体を形成したことから、水解反応で生じた1,2-NQH<sub>2</sub>-SH はROSにより容易に酸化されて、SOH体に変換されることが示唆された。そこで1,2-NQH<sub>2</sub>-SAcとタンパク質との反応性を検討したところ、結果的に生成した1,2-NQH<sub>2</sub>-SOHは、リコンビナントKeap1タンパク質のCys171との脱水反応を介して付加体を形成した。このS-S結合を介した化学修飾はグルタチオン(GSH)の処理によって解除された。これと一致して、1,2-NQH<sub>2</sub>-SAc曝露によりKeap1を含むA431細胞中タンパク質は可逆的な化学修飾を受け、一過性の転写因子Nrf2の活性化とそれに伴う下流タンパク質xCTおよびHO-1の誘導を引き起こした。以上より、酸化ストレス条件下において、親電子物質のSH付加体によるスルフェン酸の生成を介した可逆的な親電子シグナル伝達経路が存在することが示唆された。

収録刊行物

  • 日本毒性学会学術年会

    日本毒性学会学術年会 42.1(0), P-83, 2015

    日本毒性学会

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