Keap1-Nrf2システムの化学物質およびストレス応答機序  [in Japanese] Keap1-Nrf2 system: a multiple sensor for responding to a wide variety of chemical compounds and environmental stress  [in Japanese]

Access this Article

Author(s)

Abstract

私たちが暮らす環境は、毒性をもつ様々な化学物質やストレスに満ちている。その中でも、私たちが問題なく生き抜くことができるのは、ヒトが、こうした環境ストレスから体を守るシステムを備えているからである。Keap1-Nrf2システムは、その一つであり、細胞が親電子分子や酸化ストレスにさらされると応答し、これらを消去・排出すべく異物代謝酵素や抗酸化ストレスタンパク質などの遺伝子群を発現誘導する。最近では、Keap1-Nrf2システムが、外来ストレスだけでなく、内在性の細胞ストレスにも応答し、体を守ることがわかってきた。Keap1-Nrf2システムは、発がんや炎症反応など細胞内におけるさまざまな毒性発現を抑制する生体メカニズムであり、疾患や健康状態に関わるだけでなく、予防医学の鍵機構として注目されている。<br> 転写因子Nrf2が同定されたのは約20年前であり、その数年後に、当時筑波大にいた山本雅之(現・東北大教授)らの遺伝子破壊マウスの解析により、これがいわゆる第二相解毒化誘導の中核を担うことが明らかとなった。不思議な点は、Keap1-Nrf2システムがどのようにして、多種多様のストレスシグナルに応答し、どのように、そのシグナルを転写因子Nrf2の活性化に統合するのか、である。山本らは、Nrf2に結合する細胞質因子Keap1を単離し、これがNrf2の分解促進因子であるとともに、ストレスセンサーであることを同定した。国内外の多くの研究室の研究成果から、Keap1が複数のセンサー部位をもつマルチセンサーであることがわかってきた。我々も、ゼブラフィッシュ遺伝学と胚発生学を活用し、その解明に寄与してきた。<br> 本講演では、これまでにわかっているKeap1-Nrf2システムの化学物質/ストレス応答機構の概略とこれからの研究の方向性を、我々の研究成果を交えてご紹介する。

Journal

  • Annual Meeting of the Japanese Society of Toxicology

    Annual Meeting of the Japanese Society of Toxicology 42.1(0), S15-1, 2015

    The Japanese Society of Toxicology

Codes

Page Top