ARを活用した盛り付け学習の提案  [in Japanese] Trial teaching materials for dish arrangement utilizing AR (augmented reality)  [in Japanese]

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<b>1.目的</b><br>   盛り付けは,美味しさを左右する要素の1つである。盛り付けの美しさは日本料理の特徴の一つであり,我が国の重要な食文化である。伝統文化の継承については,改訂教育基本法(平成18年),学校教育法(平成19年改正),学習指導要領(平成20年改訂),食に関する指導の手引き(第一次改訂版,平成22年)において,その重要性が謳われている。小・中学校の家庭科では,おいしさや食文化理解の一環として,盛り付けの学習が求められている。しかし,小・中・高等学校の家庭科教員を対象にした調査において,「食生活文化の伝承」や「調理の取合わせ方,作り方や盛り付け方」などは重視されておらず,盛り付けに着目した学習もほとんど行われていないことが報告されている。また,盛り付けの学習の多くは,紙媒体や写真で行われることが多いが,現行の学習方法では十分な学習効果が得られないと考えられる。そこで本研究では,調理実習の盛り付け学習にAR教材の活用を検討した。<br>   AR(Augmented Reality:拡張現実)とは,行為主体が見ている現実世界の視覚情報に対して,3DCG(Three-Dimensional Computer Graphics:3次元コンピュータ・グラフィックス)などで表現される仮想物体や文字情報をリアルタイムで合成・提示する技術である。3DCGには,①様々な角度から自由に観察できる,②大きさを自由自在に操作できる,③何度も保存・修正可能という利点があり,これにAR技術を組み合わせることにより,仮想物体(3DCG)と現実世界を融合して見ることができる。3DCG・ARは,季節,場所,時代,大きさを選ばず,費用もかからないため,盛り付けの学習に有用であると考えられる。<br>   本研究では,リアリティを伴う盛り付け学習について, ARの機能を生かした教材,さらに,提案する学習方法を教員養成系大学の家庭科専修の学生に評価試験を行い,教材としての有効性および授業実践における課題について述べる。<br> <b>2.方法</b><br>   3DCGはフリーソフト「Metasequoia」で作成し,「ARToolkit」を用いて,現実世界の空間位置をマーカーで認識させてAR化した。静岡大学教育学部家庭科専修2年生(女子11名)を対象として,3DCG・ARで作成した盛り付け教材を提示した(2014年10月)。また,3DCG・AR教材の活用について,教材提示の前後で意識調査を行った。調査は質問紙法を用いた。尚,対象とした学生はいずれも家庭科教員を目指している(回収率100%,有効回答率100%)。<br> <b>3.結果および考察</b><br>   学生は,文書作成やメール作成などのPC操作については慣れていたが,プログラミングに対する苦手意識が見られた。また,学生の多くはCGと3DCGを混同していた。3DCG・AR教材を提示する前は,3DCG・ARの利用に対して否定的であったが,提示後は,肯定的になった。その理由として,従来の紙教材では限度がある「手元をみせる」授業が,3DCG・ARでは可能となることに気付いたためと思われる。<br>   従来,調理実習において模範を示すために,ワークシート・写真などの紙媒体,パワーポイント,実物投影機などが用いられているが,①学習者の視点を変えて観察するのが難しい,②一斉授業では手元を見せることが難しい,③実物を用意するのに時間や費用がかかるなどの問題が指摘されている。これら課題解決の一助として3DCG・AR教材を作成したところ,学生において教材への活用について意欲の向上が観察された。情報教育については,教育の情報化に関する手引き(平成22年)と学習指導要領(平成20年公示)において,情報機器活用の充実が謳われている。しかし,課題として,①教員における情報に関するスキルの低さや偏り,②デジタル教材を用いた授業実践の少なさなどが挙げられる。3DCG・ARを活用することで,教員の情報技術の意欲向上とデジタル教材の充実が図られるといえる。

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  • Research abstracts on the annual meeting, regular meeting and seminar of the Japan Association of Home Economics Education

    Research abstracts on the annual meeting, regular meeting and seminar of the Japan Association of Home Economics Education 58(0), 63, 2015

    The Japan Association of Home Economics Education

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