遺跡周辺における高精細地形情報の取得と解析:トルコ中部カイセリ県を対象として Acquisition and analysis of high-definition topographic data around archaeological sites:Case studies in Kayseri, central Turkey

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抄録

1.はじめに <br>古代における人類の文化や生活に関わるさまざまな環境要因のうち,地形は住居立地や人流・物流などに直接的に関与する要素であり,たとえば遺跡分布と地形との空間定量的な評価は古代における文化変容を考慮する上で重要な課題として挙げられる。一方,海外調査や遠隔地における調査では,現地の詳細で正確な地形図は容易に得られるないことも多く,その場合は地理学的な現地調査を地形測量から行う必要がある。近年,レーザ測量器や写真測量の技術革新により,高精細な地形情報を研究者自ら,現場で迅速に取得することが可能となり,その適用が地考古学の分野でも進んでいる。本研究では,トルコ中部カイセリ県の遺跡周辺域を例に,高精細地形情報の取得と解析を実施し,地形分類や古環境復元に向けた基盤情報整備の有効性を示す。 <br> 2.対象地域と手法 <br>アナトリア高原中部に位置するカイセリ県北部には,前期青銅器時代からローマ時代にかけての古代遺跡が多数分布している。これらの遺跡とその周辺における地形・地物を対象とし,中でもとくに遺跡の立地する扇状地や,近隣の断層,岩屑なだれ堆積物など,特徴的な領域に着目して現地調査を実施した。その高精細地形情報の取得は,高解像度衛星画像のほかに,現地におけるレーザ測量,SfM多視点写真測量(Structure-from-Motion Multi-view Stereo Photogrammetry),GNSS(Global Navigation Satellite System)測量といった手法を用いて行った。写真測量のための画像取得には,ハンドヘルドカメラやsUAV(small  Unmanned Aerial Vehicle)に搭載した単焦点小型カメラ等を用いた。これらにより得られた3次元情報をもつ点群データを地理座標系に投影し,DEM(Digital Elevation Model)を生成するとともに,sUAVによる画像から得られたオルソ補正画像をあわせて,地形条件や遺跡立地条件などの空間解析を行うための基盤情報とした。<br> 3.結果と考察 <br>対象とした領域の範囲(数10 m〜数100 m)で得られた地形・地物情報の解像度は,数 m から数 cm のオーダーであり(図1),精細な地形・地物情報を判読,解析することが可能である。これらを精査し,対象地における地形判読・分類等を行う上での本研究における手法の有効性が示された。今後,こうした高精細地形・地物情報の取得・解析を進め,対象地における古環境と文化変容との空間関係を明らかにすることがさらなる課題として挙げられる.

収録刊行物

  • 日本地理学会発表要旨集

    日本地理学会発表要旨集 2015s(0), 100314, 2015

    公益社団法人 日本地理学会

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