関東地方におけるマルグンバイ属(カメムシ目)の系統関係と基本的生態

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書誌事項

タイトル別名
  • Phylogenetic relationship and basic ecology of genus <i>Acalypta</i> (Hemiptera) in Kanto District

抄録

森林性昆虫の1属であるマルグンバイ属は、林床のコケ群落に依存して全国的に分布しており、生態的に不明な点が多い。日本産の種は飛翔能力が退化しているため移動分散能力が低く、個体群間で遺伝的分化が生じていると推測される。森林に期待される生物多様性保全機能の観点から、森林性生物における遺伝的多様性の理解は重要である。本研究では、関東地方におけるマルグンバイ属の遺伝的多様性および系統関係を明らかにすることを目的とし、関東地方周辺に分布する3種の分子系統解析を行った。<br> 関東地方を中心とする27地点で得られた個体を解析に用いた。これらのミトコンドリア遺伝子COI領域663bpにおいて、個体群間で同一の遺伝子型は共有されておらず、本属3種が種内で遺伝的分化を生じている可能性が示唆された。分子系統解析の結果、本属の1種マルグンバイは異なる2系統に分かれ、両系統は関東地方を境界として南北に異所的に分布していた。これらは外部形態による判別が困難であり、隠蔽種である可能性がある。<br> また、マルグンバイについて基本的な生態情報を得るために生活環を調査した結果、これらは年一化で成虫越冬を行うと推定された。

収録刊行物

詳細情報

  • CRID
    1390282680686311808
  • NII論文ID
    130005490864
  • DOI
    10.11519/jfsc.126.0_349
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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