特別支援学校の訪問指導への関わりが児童の活動・参加の拡大に繋がったと考えられるケース

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タイトル別名
  • ~校内外理学療法士と担任教諭,保護者との連携~

抄録

<p>【はじめに】特別支援学校での理学療法士(以下PT)は,学校で児童生徒が主体性をもった生活を送ることを目的に,校内外の様々な職種と連携を図りながら協働してその専門性を発揮することが期待されている。横浜市では外部専門家の関わりとして,市特別支援教育総合センターのPT(以下特総PT)による年間数回の巡回相談がある。また,2013年度にPT資格を持った教諭が一般教諭枠で採用され,配属校において担任を持ちながら校内相談や外部PTとの連携を図る「自立活動コーディネーター(以下自活CO)」として学校内で業務を進めている。今回特総PTと自活COが連携し,特別支援学校の訪問指導への関わりが継続的に行えたことで,姿勢のバリエーションが増え,学習場面への活動・参加が増えた児童のケースを経験したため,考察を加えここに報告する。</p><p></p><p>【症例紹介,経過】先天性脳形成不全の小学部4年児童。入学時より健康状態の不安から訪問籍対応となった。GMFCSV,自発的な姿勢変換不可,人工呼吸器使用,持続吸引実施。週1回の頻度で自宅への訪問指導を行っているが,PT相談介入前はてんかん発作やバイタルサインの不安定さ,低覚醒により訪問が実施できない週も多くあった。小学部3年の10月に特総PTに相談依頼。ストレッチ指導,授業で実施できる体操指導,両側側臥位のポジショニングを担任,保護者と一緒に実施。後日特総PTと自活COでカンファレンスを実施し,担任,保護者に対するアフターフォローについて確認した。</p><p></p><p>【結果】巡回相談の内容,カンファレンスをもとに,自活COと担任でケース検討会を実施。巡回相談の時間だけでは確認できなかったポジショニングの意図やポイント等について確認ができた。その結果,訪問指導でも継続的に取り組むことができ,SpO2,HR安定,覚醒を維持したまま,様々な学習に取り組める場面が増えた。また,巡回相談時に保護者も一緒に姿勢づくりに参加できたことで,訪問指導以外の時間にも保護者によるポジショニングの取り組みが行われるようになった。</p><p></p><p>【考察】特別支援学校の特徴として,チームティーチングでの実態把握,指導,評価が行える点が挙げられるが,訪問指導は環境面,体制面等の理由から担当1人で赴き実施することが多い。本校の訪問担当者会に対するアンケートでは,指導時のリスク管理や実態把握,授業内容,評価等についての悩みを共有しにくいという結果が得られた。本ケースでは特総PTが介入したことにより,担任教諭は安全かつ充実した訪問指導を実施するヒントが得られ,その後自活COがアフターフォローに入ったことでより確実,かつ継続的な実施に至ったと考える。また,訪問指導以外の時間の保護者の姿勢づくりにも繋げられたことで,より安定した体調で訪問指導を受けることができ,児童の活動・参加の拡大に至ったと考える。学校内外でのPTの連携を踏まえた教諭との協働が,児童の学校生活の充実に繋がると考察する。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205579286272
  • NII論文ID
    130005608961
  • DOI
    10.14900/cjpt.2016.0904
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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