超低出生体重児の自発運動の特徴と新生児用枕による即時的影響

DOI
  • 内尾 優
    東京女子医科大学リハビリテーション部 首都大学東京大学院人間健康科学研究科
  • 長谷川 三希子
    東京女子医科大学リハビリテーション部
  • 猪飼 哲夫
    東京女子医科大学リハビリテーション科
  • 楠田 聡
    東京女子医科大学母子総合医療センター新生児医学科
  • 内山 温
    東京女子医科大学母子総合医療センター新生児医学科
  • 藤本 泰成
    首都大学東京システムデザイン学部
  • 新田 收
    首都大学東京大学院人間健康科学研究科

抄録

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>新生児期~乳児期初期にみられるまだ意思を持たない運動は自発運動と呼ばれ,その運動を通した経験により感覚運動発達は進む。早産児として出生した超低出生体重児は神経学的異常がみられなくとも,正期産児に比べ自発運動は劣り,感覚運動発達全般が遅延する。しかし,その自発運動を客観的に評価したものや介入による改善を報告したものは少ない。超低出生体重児の頭部は大きく,縦長扁平で,非対称な姿勢を呈しやすい特徴を持つ。そこで今回,超低出生体重児の自発運動の特徴,及び新生児用枕の有無による自発運動への即時的影響を明らかにすることを目的とした。</p><p></p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象は神経学的異常のない超低出生体重児8名(男5/女3,平均在胎週数24週6日±2週0日,平均出生体重729.4±144.8g),正期産新生児8名(男4/女4,平均在胎週数38週1日±0週6日,平均出生体重3152.6±390.2g)とした。評価機器は乳児自発運動評価を目的にプログラミングされたKinect for Windows v2を用い,両手首に異なる2色のマーカーを貼布した。評価は修正月齢約1か月に,超低出生体重児は新生児集中治療室内,正期産新生児は対象児の自宅内で外的刺激の少ない環境下にて行った。肌着1枚を着せた状態で,背臥位での自発運動を各群とも新生児用枕有無の2条件で約3分間ずつ記録した。枕の有無は対象毎に無作為に順番を入れ替えて行った。解析対象は児の機嫌が良いstate 4の状態で,かつ自発運動が連続して確認できたはじめの30秒間とし,評価機器より得られた両手首の3次元座標データ(34 Hz)から各指標 ①平均速度,②非対称性(左右上肢平均速度のLaterality Index),③突発性(加速度の尖度),④滑らかさ(躍度Jerk Index)を算出し,両群を枕の有無で比較した。統計解析は各指標に対し,対象(超低出生体重児,正期産新生児)と枕(有,無)を要因とする二元配置分散分析を行った。さらに対象の違いと枕の有無を含めた全ての4条件をBonferroni法による単純主効果の検定にて検討した。有意水準は5%とし,統計ソフトにはSPSS ver.23を用いた。</p><p></p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>二元配置分散分析の結果,各指標①~④に対し,枕による主効果,交互作用は認めなかった。単純主効果の検定の結果,枕無し条件での②非対称性(左右上肢平均速度のLaterality Index)は,超低出生体重児のほうが正期産新生児に比べ,有意に大きかった(p<0.01)。枕有り条件では有意差はみられなかった。指標①,②,④では有意差はみられなかった。</p><p></p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>神経学的異常のない超低出生体重児の上肢自発運動は,正期産児と同様の速度,突発性,滑らかさを有していたが,左右の非対称性があることが示された。また,新生児用枕の使用により非対称性を軽減する可能性が考えられた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680556024448
  • NII論文ID
    130005608977
  • DOI
    10.14900/cjpt.2016.0899
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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