短期集中リハビリテーション入院での積極的な運動療法による姿勢異常の改善がみられたパーキンソン病患者:重心動揺変数からの病態推定に基づく介入指針の検討

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著者

    • 中村 潤二
    • 西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部|畿央大学大学院
    • 岡本 昌幸
    • 西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部
    • 久我 宜正
    • 西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部
    • 藤井 慎太郎
    • 西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部|畿央大学大学院
    • 後藤 悠太
    • 西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部
    • 河島 則天
    • 国立障害者リハビリテーションセンター研究所運動機能系障害研究部神経筋機能障害研究室

抄録

<p>【はじめに,目的】パーキンソン病(PD)の姿勢異常には,体幹筋のジストニアや固縮などの多様なPD徴候が影響することから,病態解釈や介入指針の立案には一定の困難がある。現状,臨床現場では様々な治療が行われているものの,明確な根拠の上に各方法があてがわれ,有効性が確立されているとは言い難い。今回,短期集中リハビリテーション入院(入院リハ)を利用した姿勢異常を呈するPD患者一例に対して重心動揺変数の精査に基づく姿勢異常の発現機序の検討と介入指針の選定を行った上で,積極的な運動療法を行ったところ,姿勢異常の改善がみられたため報告する。</p><p></p><p></p><p>【方法】症例は発症後2年を経過し,体幹前屈,右側屈の姿勢異常が著明な60歳代男性であった。Hoehn & Yahr分類はIIIであり,3カ月間の外来リハビリテーションを実施し,その翌週から1カ月間の入院リハを実施した。外来は約90分間の介入を週に1日行い,入院では1日に約120分間を週に7日行った。外来では,体幹機能の改善を目的に体幹筋の筋力増強運動やストレッチング,歩行練習などを中心に実施した。入院では,重心動揺検査や姿勢観察から,足圧中心(COP)の右後方への偏移による荷重の非対称性や,姿勢制御能の低下が姿勢異常に影響していると考えた。初期は対称的かつ前方への荷重の獲得を目指し,その後に自律的な姿勢制御の獲得を目指し,立位での重心移動練習,トレッドミル歩行練習,受動歩行運動などを実施した。重心動揺検査は,外来開始時,終了時,入院から10日後,20日後,退院時に評価した。検査には,重心動揺リアルタイムフィードバック装置(Basys,テック技販)を用いて,30秒間の静止立位のCOPを測定し,COPの動揺速度,95%楕円信頼面積(面積)を算出した。また姿勢評価,MDS-UPDRS part III,2分間歩行テストなどを外来開始時,終了時,退院時に評価した。前屈姿勢の評価は,Frame by Frame法を用い,30秒間の静止立位における体幹前屈角度を1秒毎に求め,平均値を算出した。各期間で投薬変更はなく,評価は同時刻に行った。</p><p></p><p></p><p>【結果】体幹前屈角度は,外来開始時は32.3±1.9°,終了時は26.3±1.9°,退院時は15.4±1.7°であり,体幹側屈も観察上,外来期間と比較して退院時に改善がみられた。動揺速度は外来開始時は2.7,終了時は2.5,入院10日後は2.3,20日後は2.6,退院時は1.8cm/sとなり,面積はそれぞれ8.2,3.7,3.6,2.6,2.0cm<sup>2</sup>となった。COPの平均前後位置は-0.3,0.8,4.9,3.4,5.6cmとなり,平均左右位置は-2.9,-2.0,-0.8,0.1,-0.3cmとなり,入院10日後から,COPが正中かつ前方に偏移し,重心動揺変数の改善がみられた。UPDRSは,42,42,40点であり,2分間歩行テストは,退院時に大きく改善した。</p><p></p><p></p><p>【結論】介入量の違いはあるものの,重心動揺変数の改善が入院後早期にみられ,退院時には姿勢異常が軽減し,歩行能力の向上に至った。PD症例の重心動揺変数から姿勢制御特性や姿勢異常の病態推定を行い,積極的な運動療法を行うことで姿勢異常を軽減できる可能性がある。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2016(0), 0972, 2017

    公益社団法人 日本理学療法士協会

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