子どもの検診事業の取り組みから子どものロコモ予防についての一考察

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  • 平成28年度千葉県理学療法士会スポーツ健康増進支援部の取り組み

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<p>【はじめに】子どもの運動不足と運動器疾患の関連が指摘され,平成28年度より小学校で学校検診が始まり,簡易的にロコモティブシンボローム(以下,ロコモ)予備軍の発見に役立てるなど,子どものロコモの予防が警鐘されている。千葉県理学療法士会スポーツ健康増進支援部では,子どもロコモ事業を3年前より実施しており,子どもの健康増進の活動を行っている。本研究は,平成28年度子どもロコモ事業の結果をもとに,子どもの健康状態と今後の対応方法について検討した。【方法】対象は,平成28年度千葉県浦安市,佐倉市の子供ロコ事業のスポーツイベントに参加した297名(男児142名,女児155名;4~13歳)で,測定に同意の得られた者である。除外基準は,口頭指示が適切に入らず正確な計測が不可能だった者とした。運動テストは,片脚立位,立位体前屈,しゃがみ込み,腕立て,腹筋,踵殿距離,四つ這いバランスで,他に食習慣,睡眠,運動時間を口頭にて聴取した。統計解析は,SPSS ver.21を利用し各項目の相関,クロス集計で検討し,その他は記述統計を行った。有意水準は5%未満とした。【結果】運動テストは,片脚立位不可5.6%,体前屈0cm未満21.6%,しゃがみ込み困難5.0%,四つ這いバランス困難19.5%,腕立て困難24.9%,腹筋困難37.1%,踵距離0cm以上18.3%で,柔軟性およびバランスの低下した者が多かった。外遊びをする児童は81.8%,ケガをしやすい29.3%,転倒しやすい20.2%,疲れやすい38.9%,現在の運動器疼痛27.2%,過去の運動器疼痛8.6%,平均1日運動時間1.4±0.9時間,睡眠時間9.1±1.3時間であった。現在の運動器疼痛がある者に踵殿距離の有意な低下があり,腕立てと弱い相関(r=0.13)を認め,過去の疼痛と運動総合点に弱い相関(r=-0.16),睡眠時間と現在・過去の疼痛(r-0.28,0.14)にも相関を認めた。【考察】普通学校の児童・生徒の1~2割に運動器疾患・障害がみられ,片脚立ち左右5秒間,手を180度挙げる,しゃがみ込み,体前屈のうち困難な項目が一つ以上で,何らかの運動機能不全と判断すると,約4割の児童が該当すると報告がある。本事業の結果,各運動能力の一部が低下している児童が多かった。特に,現在の運動器疼痛と踵殿距離の低下,過去の疼痛が総合点に影響し,さらに生活習慣も関与していることから,基本的運動能力である柔軟性。バランス能力,筋力を運動習慣で身に着けるとともに,普段の生活習慣の見直しが重要なことが示唆された。また,ケガをしやすい,転びやすい,疲れやすいなど高齢者のロコモ予防で啓発している内容が子どもでもみられ,運動時間の減少が子どもの健康状態を低下させている一要因になると考えられる。今回の取り組みは親と子どもで参加することも多く,家族を通じた運動の意識を高める一助になるのではないかと考えられる。</p>

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205578151168
  • NII Article ID
    130005609685
  • DOI
    10.14900/cjpt.2016.1590
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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