琉球列島南部,宮古島・下地島・石垣島・黒島に襲来した津波営力の差異:海岸段丘上の津波石を用いた検討  [in Japanese] A study on difference in historical tsunami force, southern Ryukyu Islands, Japan  [in Japanese]

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Abstract

<br><br>1.はじめに<br><br>津波石とは,津波により陸上に打ち上げられた岩塊のことである.先行研究によると,宮古島や石垣島をはじめとする琉球列島南部の島々には,過去の複数の津波によって石灰岩からなる巨礫,すなわち津波石が打ち上げられていることが報告されている.本研究では,津波によって陸上に打ち上げられた津波石のうち,海崖を乗り越えて海岸段丘上に定置している津波石に焦点をあてて野外調査を行い,過去に琉球列島南部の島々に襲来した津波営力の大きさの違いについて考察を行うことを目的とする.<br><br>2.調査対象地点・調査方法<br><br>本研究では,宮古島,下地島,石垣島,黒島の4島を調査対象地域として選び,宮古島東平安名崎海岸,下地島西海岸,石垣島大浜・真栄里海岸,黒島南海岸において,津波石の調査が実施された.これらの海岸では琉球石灰岩からなる海崖をもつ海岸段丘が発達し,段丘上や崖の基部,サンゴ礁上に大小様々な津波石が分布する.各海岸の背後には,岩塊が供給されうる丘陵などの高台が存在しないため,段丘上の岩塊は津波によって崖を乗り越えた可能性が高いと判断し,本研究では3 m以上の長径をもつ巨礫を津波石とみなした.<br><br>津波石の重量(<i>W</i>)と海崖の高さ(<i>H</i>)に関する以下のような調査・分析を行った. <i>W</i>を求めるため,津波石の体積(<i>V</i>)と密度(ρ)の推定を行った(<i>W</i>=ρ<i>V</i>). <i>V</i>は津波石を直方体とみなして長径と中径と短径を計測して算出する方法と,高精細地形測量(TLSおよびSfM測量)による3D解析による方法を用いて求められた.津波石の密度はPS-1(応用地質)による弾性波速度の計測値から推定された.<i>H</i>はレーザー距離計を用いて計測された.<br><br>3.結果・考察<br><br>津波石は,宮古島では<i>H</i>=17 mの段丘上に14個,下地島では<i>H</i>=10 mの段丘上に1個,石垣島では<i>H</i>=3 mの段丘上に4個,黒島では<i>H</i>=3~4 mの段丘上に6個,計25個が確認された.段丘上の津波石が津波によって海崖基部から運搬されたと仮定すると,<i>H</i>は津波石の鉛直方向の移動距離を,そして<i>W</i>・<i>H</i>は津波石の鉛直方向の移動にかかった仕事量を示すことになる.したがって,津波石が同一のプロセスによって海崖上に運搬されたと考えると,<i>W</i>・<i>H</i>は海崖基部の津波石に到達する直前の津波の運動エネルギーと比例関係をもつ値となり,津波営力の大きさの指標にできる.各島での<i>W</i>・<i>H</i>の最大値は,各島の過去最大の津波を示すと考え,それらの大小関係を求めると,下地島≧宮古島>石垣島>黒島の順になった.この結果は,宮古島・下地島地域に石垣島・黒島地域よりも大きな津波が襲来した可能性を示唆するものであり,石垣島周辺で最も大きい津波が襲来したとされる1771年の明和津波とは異なる結果となっている.

Journal

  • Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers

    Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers 2017s(0), 100233, 2017

    The Association of Japanese Geographers

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