企業内ワーキング・マザーの内的変容プロセス ―職業人としての自己・母親としての自己の観点から―

書誌事項

タイトル別名
  • Process of Inner Changes in Working Mothers at a Company: From The Perspective of “Self” as a Worker and a Mother
  • キギョウナイ ワーキング ・ マザー ノ ナイテキ ヘンヨウ プロセス : ショクギョウジン ト シテ ノ ジコ ・ ハハオヤ ト シテ ノ ジコ ノ カンテン カラ

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抄録

本研究は,企業の正社員として勤続するワーキング・マザーの内的変容過程を明らかにし,職業人・母親としての自己が,どのように形成され,互いに影響しあうのか,質的に分析,検討することを目的とした。都内の民間金融企業(1社)に正社員として勤務する女性,および退職した女性21名に対し,半構造化面接を行い,修正版M-GTAを用いて分析した。仕事と育児を両立させるためには,他者や会社からのサポートと同時に,自分の中での割り切りや意志の貫きといった自分で自分を支える気概が一貫して彼女たちの原動力となることがわかった。また,彼女たちには,新たに時間・健康・対人関係への意識を強める内面変化が生じ,物事の段取り・分散注意力といった,仕事と育児共通コンピテンシーが備わることも明らかにされた。それと同時に,育児をしながらの働きづらさ,完璧な両立の諦め,保守的環境改革への願いといった,ワーキング・マザーの本音も浮き彫りになった。職業人として培った自己は,根底に生き続け,彼女たちが,母親役割を強く意識しながらも,自分自身を形成していきたいと考えていることが示唆された。

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被引用文献 (1)*注記

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