高木の通水構造と機能

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タイトル別名
  • Hydraulic Architecture and Function of Tall Trees
  • タカギ ノ ツウスイ コウゾウ ト キノウ

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抄録

<p>高木における水輸送は,長距離輸送によって生じる通水抵抗に加えて,重力による静水圧の影響を受けるため,梢端部では生理機能や形態形成が抑制され,樹高成長が制限されると考えられてきた。木部の水透過性は力学的支持や水ストレス耐性と機能的トレードオフ関係にあるだけでなく,気孔からのCO2 吸収制限や物質配分を介して光合成生産にも影響する。光資源が豊富な梢端部では高い光合成生産が期待できるため,水分通道制限に対する適応・順化・補償メカニズムの存在が示唆されてきた。近年の研究から,高い水透過性と水ストレス耐性を実現する木部細胞の構造や,高さに対する様々な適応・順化反応,水分通道制限を補償する貯水機能など,新たな知見が明らかになった。さらに,個体内の通水構造が可塑的に変異すること,木部の水透過性が短期的に変化することが明らかになった。その結果,高木の通水構造は,抵抗だけが連なった単純な回路ではなく,ブレーカーのような安全装置やコンデンサーのような貯留装置などを含む複雑な水輸送経路であることがわかってきた。更なる研究の発展により,高木の通水構造の全体像が明らかになり,総合的な理解が進むことが期待される。</p>

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