プレイセラピーが発達障害にもたらす効果の事例的・実証的検討

書誌事項

タイトル別名
  • A Case Study with Empirical Verification on the Effects of Play Therapy for Autism Spectrum Disorders
  • 融合・分離の契機と破壊・対立を生み出す悪の意義
  • Significance of Fusion and Separation, and Evil

抄録

<p>本稿では,発達障害に対するプレイセラピーの有効性と意義を実証的に示すために,3年以上に亘る自閉症スペクトラム障害男児とのプレイセラピーの過程を,半年ごとに実施された新版K式発達検査2001の結果とともに報告し,事例的検討を行った。本事例においては,セラピストとの融合をベースとして,自他の分離がさまざまな次元で進行し,自己感が獲得されていった。その順調な進展は発達検査の結果にも反映され,発達指数の上では定型発達児と変わらない水準にまで至った。セラピストが交代すると,クライエントはセラピストや弟に見立てた人形に対して“悪い”遊びを行うようになり,成立しつつあったはずの分離や区別の体系が崩れ去るとともに,発達指数も一時的に低下した。しかし,真に意志や主体性をもって世界や他者と関わることが可能になるためには,そうした“悪”のようなネガティブな心の働きが重要であったのだと考えられた。こうして,クライエントが実感を伴って世界に開かれたことで,発達検査においても指数の飛躍的な伸びと優位領域の逆転が生じた。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679452115840
  • NII論文ID
    130006120182
  • DOI
    10.11377/sandplay.30.1_3
  • ISSN
    2186117X
    09163662
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
    • KAKEN
    • IRDB
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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