アメリカの管財人制度による空き家再生方策

書誌事項

タイトル別名
  • Rehabilitation of Vacant Properties through Receivership/Conservatorship in the USA

抄録

ボルティモア市とフィラデルフィア市では、地域に悪影響を及ぼしている空き家を修繕、解体もしくは販売する権限を非営利団体などに与え、債権を抹消して不動産市場に戻す空き家管財人制度を導入している。ランドバンクとは異なり、管財人は所有権を取得しないため、維持管理費が不要であるとともに、自治体にとっては行政代執行と比較して財源的にも人的にも負担が少ない。ただし、費用回収の見込みがないと管財人のなり手がいないため、同制度は不動産市場が存在しない地区には適用できない。ボルティモア市では、市が設立に関わった非営利団体を管財人に任命するように裁判所に申立てし、その団体が競売にかけ、新規所有者が空き家を修繕して販売する流れが確立されている。10年間で2,600軒の空き家を競売にかけ、新しい所有者が修繕の上、販売・賃貸しを行っている。空き家管財人制度は空き家問題の有効な対応策の一つと言える。

収録刊行物

  • 都市計画論文集

    都市計画論文集 52 (2), 155-160, 2017-10-25

    公益社団法人 日本都市計画学会

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