大和の伝統野菜に関する教材開発研究  [in Japanese] Teaching materials development research on traditional vegetables in Yamato  [in Japanese]

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<b>1</b><b>.はじめに</b> <br> 2013年、和食のユネスコ無形文化遺産登録を受けて、伝統野菜を地域振興につなげる動きが高まっている。 伝統野菜とは、以下の通りに定義している。<br> ・地域で農家が繰り返し栽培し自家採種をすることによって特徴を持つようになった野菜を「在来品種」と し、 そのなかから栽培が広域化、ブランド化されることによって広く認知されるようになった野菜(香坂ら2015)<br> しかし、伝統野菜に明確な定義はない(香坂ら 2015)。 日本では高度経済成長期に在来品種が急速に消失していった。その後、京都等で伝統野菜の認定を行い、その流れは全国に広がっていった(冨吉ら2016)。また、食育基本法(2005)の制定以降、食育の推進、学校給食における地場農産物の利用等の取り組みも活発になった(佐々木2002ほか)。 <br> 奈良県では2005年10月に大和の伝統野菜が選定された。奈良県農政部によると、大和の伝統野菜とは戦前から奈良県内で生産され、歴史・文化を受け継いだ独特の栽培方法により味・香り・形態・来歴などに特徴を持つものである。現在、大和まな、大和いも、大和きくな、結崎ネブカ、大和丸なすなど20品目が認定されている。特に夏期には大和丸なす、冬期には結崎ネブカが半年間流通する。その他に、大和のこだわり野菜もある。 <br> 従来の伝統野菜に関する研究では、産地、生産、流通、ブランド化に関するものが多い(大石2011ほか)。また、大和の伝統野菜に関する研究も行わ れているが(山口2012ほか)、それを教育に活用 している研究事例は極めて少ない。 そこで本研究では、大和の伝統野菜を、とりわけ結崎ネブカの事例を中心に、学校教育においてどのように活用できるのか検討する。 <br><br><b><br>2</b><b>.結崎ネブカの現状</b> <br> 結崎ネブカは奈良県川西町結崎周辺のみで作られている。この地域は、観世能の発祥地として知られ、室町時代に翁の能面とともに天から降ってきたネギを植えたという伝説がある。もともと戦 前から栽培されていた葉ネギの一種だが、傷みやすく市場流通に向かないとされ、次第に栽培されなくなっていった。 <br> しかし、2002年に川西町商工会で町おこし事業が始まり、2004年度から3軒の農家が栽培を開始した。結崎ネブカ生産部会も発足され、その後も農家数・作付面積が増加していった。2015年現在、栽培面積は約1ha、生産部会の会員は50~80代の22名である。2005年には商標登録、2009年には地域団体商標登録に認定された。現在、ネッピーというイメージキャラクターも作られ、パッケージや袋に使用されている。結崎ネブカは、出荷を担うJAと広報活動を行う商工会が一体になっているのが特徴である。そのため、商工会員の飲食店はJAから直接仕入れすることが可能である。 <br> 結崎ネブカの栽培では、5月に種の採取、6月に播種となり、収穫は9月~3月になる。そのため、流通時期が限られ、常に入手できるわけではないということが最大の課題である。 <br> 地域の学校給食にも、結崎ネブカが提供され、給食の献立に月あたり50%以上の割合で結崎ネブカが使用される(2016年9月~2017年3月)。また、地域の小学校では、第6学年の総合的な学習の時間の際に、結崎ネブカの収穫体験、ネブカ焼きの調理実習、ネブカ新聞の作成を1年間通じて活動していることが明らかになった。さらに、学校の一画に菜園を設けネブカを育てているとともに、農家の方を学校に招待して共に学校給食を食べる交流も行っている。<br><br> <b>3</b><b>.まとめ</b> <br> 本研究の結果、川西町の小学校では、地域の課題を自ら考える活動を行うべく、結崎ネブカを教材として取り上げていることが分かった。しかし、総合的な学習の時間からの学びは行われているが、社会科授業については結崎ネブカを取り扱っていなかった。また、授業で調べ学習を行う際に、参考資料が1種類ほどで極めて少ないことも明らかになった。したがって、今後、結崎ネブカを取り扱った教材や社会科授業の構成が必要になると考えられ、現在作成中である。

Journal

  • Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers

    Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers 2017a(0), 100123, 2017

    The Association of Japanese Geographers

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