高齢期のフレイル,メタボリックシンドロームが要介護認定情報を用いて定義した自立喪失に及ぼす中長期的影響:草津町研究

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タイトル別名
  • Impact of frailty and metabolic syndrome on the incidence of loss of independence in community-dwelling older Japanese: the Kusatsu-town study
  • コウレイキ ノ フレイル,メタボリックシンドローム ガ ヨウカイゴニンテイ ジョウホウ オ モチイテ テイギ シタ ジリツ ソウシツ ニ オヨボス チュウチョウキテキ エイキョウ : クサツマチ ケンキュウ

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抄録

<p>目的 わが国の高齢者の健康余命への影響因子の解明に資するため,地域高齢者の追跡研究により,高齢期のフレイルおよびメタボリックシンドローム(MetS)が健康余命のエンドポイントである自立喪失(要介護発生または死亡)に及ぼす中長期的な影響を明らかにする。</p><p>方法 群馬県草津町において,2002~11年の高齢者健診を受診した65歳以上の男女計1,524人のうち,ベースライン時に既に要介護認定(要支援含む)を受けていた者71人を除外した1,453人を対象とし,平均7.0年(最大12.4年)の追跡を行った。分析は使用項目の欠損値を有する者を除き,フレイルは1,335人に対し,1)6か月以内に2~3 kg以上の体重減少,2)握力が男で26 kg未満,女で18 kg未満,3)「自分が活気にあふれていると思いますか」の質問に「いいえ」と回答,4)通常歩行速度が1.0 m/s未満,5)外出が1日1回未満の5項目のうち,3項目以上該当をフレイル,1~2項目該当をプレフレイルと判定した。MetS区分は1,450人に対し,日本の内科系8学会の基準に準じて判定した。フレイル,MetSを含む関連因子と自立喪失等との関連は1,217人に対してCox比例ハザードモデルを用いた回帰分析等により解析した。</p><p>結果 追跡期間中の自立喪失発生者数は494人(要介護発生376人,要介護発生前死亡118人)であった。男女ともにフレイル群,プレフレイル群はフレイルなし群に比し自立喪失発生率は有意に高率であったが,MetS区分と自立喪失発生率との間には一定の関連は認められなかった。フレイルなし群を基準とした場合のプレフレイル群,フレイル群の性・年齢調整自立喪失ハザード比(HR)(95%信頼区間)は各々1.5(1.2-1.9),2.4(1.8-3.3)であり,さらにMetS区分,低コレステロール血症・慢性腎臓病・貧血・低アルブミン血症・認知機能低下・脳卒中既往の有無を調整した多変量調整自立喪失HRはプレフレイル群で1.5(1.2-1.9),フレイル群で2.1(1.5-2.9)であった。また,前期高齢者の方が後期高齢者に比し,プレフレイル群,フレイル群の自立喪失HRは高値を示した。</p><p>結論 フレイルは日本人高齢者の中長期的な自立喪失の有意の危険因子であることを明らかにした。高齢期のMetSの有無はその後の自立喪失に影響を及ぼしていなかった。</p>

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