輸入自由化後の豪州牛肉生産をめぐる日本企業の進出と撤退

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  • Rise and Demise of Japanese Upstream Investment in the Australian Beef Sector after Trade Liberalization
  • ユニュウ ジユウカ ゴ ノ ゴウシュウ ギュウニク セイサン オ メグル ニホン キギョウ ノ シンシュツ ト テッタイ

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抄録

日本の牛肉輸入自由化から20年が経過した.この間,豪州からの牛肉輸入量は急増したが,開発輸入を目的に豪州生産拠点を築いた日本企業はほとんどが撤退し,豪州産牛肉の大半は豪州企業との相対取引により調達されるに至った.本研究では,この取引形態の変動を説明すべく,開発輸入の前提となった生産条件,市場条件,および企業間の能力差の変化を,変化の動因たる主体の行動に注目して分析した.日本企業進出の根拠は,日豪間に大きな内外価格差があったにもかかわらず,豪州企業には日本市場が固有に必要とする品質を実現する能力がなかった点にあった.しかし,時間とともに,日本固有の中長期肥育牛肉の需要は急減し,日本の外食消費や豪州・東アジアにおける短期肥育牛肉の需要が増大した.日本では生産者による低コスト化・高品質化が進んだ一方,豪州では多国籍巨大パッカー傘下の企業が短期肥育牛肉の世界販売を本格化させた.これらの変化が積み重なり,日本企業は自社生産の合理性を失った.

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