2009年8月台風9号に伴う豪雨による水害が兵庫県佐用町に与えた長期的影響 An investigation of long-term effects of flood by typhoon No. 9 2009 in Sayo, Hyogo

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抄録

豪雨災害が中山間地に与える長期的な影響について理解することは,中山間地域の持続可能性や国土管理のあり方を考慮する上で極めて重要である.本研究では2009年8月に発生した台風9号により兵庫県佐用町で発生した豪雨災害に関する長期的な影響を調査した.本邦において毎年のように発生する豪雨災害への適切な対策を考えるためには,災害が社会にもたらす影響を正確に把握することが不可欠である.豪雨災害の影響としては,人命や資産が洪水や土砂により受ける短期的な影響と,その短期的な被害が災害後も継続的に地域社会へ変化を及ぼす長期的な影響の2つが考えられる.前者に関しては,災害直後は社会的な関心も高いことから,様々な専門家により複数の視点から調査が行われている.一方,後者に関しては,具体的な影響が明確ではなく測定することが難しいことや,時間の経過とともに被災地外から被災地への関心が薄れることもあり,必ずしも十分な調査が行われているとは言えない.中山間地域では少子高齢化,産業の衰退,耕作放棄地の増加等,急速な社会変化が進行しており,これらの変化を踏まえた上で今後の流域管理,治水事業のあり方を模索する必要があるだろう.今回の調査結果から,同一町村内においても長期的な影響の表れ方が地域により異なること,またそれらの地域差には従来から進む過疎化の進行度合いが関連していることが示唆された.今回のヒアリング調査からは,同じ町内でも被害の傾向やその影響は地域により大きく異なるという印象を強く受けた.被害の影響を考慮する際には,町という単位では必ずしも十分に傾向が把握できないことが想定される.中山間地域の今後のあり方を考える上では,その地域の状況をできるだけ適切に地域外の人に伝えることが重要である.しかし、被害の局所化は、被害認識の共有や発信の妨げとなるだろう.近年市町村合併による行政機能の縮小が,こうした傾向に拍車をかける可能性もある.住民参加によるネットワークを用いて災害の情報を共有・発信することは,災害に関する研究が今後取り組むべき重要なテーマの一つであろう.

The long-term effect of flood by typhoon No. 9 2009 in Sayo, Hyogo are investigated. Generally, the long-term influence of flood in mountainous region in Japan has not been studied well. It is important to consider such influence because the impact of flood could be catastrophic for those areas where depopulation is significantly on going. The effects are estimated by statistical analysis of social indices, questionnaire survey, and interviews for local government and communities. The results indicate that the influence of flood was substantially lower than other influence of changes such as depopulation or population aging.

収録刊行物

  • 水文・水資源学会研究発表会要旨集

    水文・水資源学会研究発表会要旨集 30(0), 20, 2017

    水文・水資源学会

各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    130006236310
  • 本文言語コード
    JPN
  • データ提供元
    J-STAGE 
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