韓国・日本・中国の保険法上の告知義務制度に関する比較研究

書誌事項

タイトル別名
  • Korea-Japan-China’s Law Reform on the Duty of Disclosure under the Insurance Law
  • カンコク ・ ニホン ・ チュウゴク ノ ホケンホウ ジョウ ノ コクチ ギム セイド ニ カンスル ヒカク ケンキュウ
  • (李 芝妍・訳)

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抄録

約10年前から世界各国では保険法の改正作業が活発に行われており,その主な目的は保険契約者を保護する法的根拠を設けることであった。特に,保険契約を締結する際,保険契約者が負う告知義務のパラダイムの変化が目立っていた。<br />保険法の改正過程で保険者の約款に対する説明義務と違反時の効果を強化する反面,保険契約者の告知義務は緩和する方向が示されており,今や先進的な保険法の評価基準の一つとして国際的な整合性を形成した。<br />本論文ではほぼ同じ時期に改正作業を終えた韓国と日本,中国の保険法上の告知義務に関連した最近の改正内容を国際的整合性の観点で分析を行った。東北アジアに位置する三国は,実質的に先進的保険市場を形成しており,量的に急速な成長をなしてきたので,三国の保険法は周辺諸国に及ぼす影響は少なくないだろう。<br />研究を行った結果,韓国の告知義務は応答義務へ変更されていないので,国政的整合性に最もかけ離れていると把握できた。日本は応答義務の導入,保険媒介者による告知義務の妨害時の解除権の制限規定を定めているが,比率的保障制度に対する規定を定めていない。中国は応答義務の規定は勿論,告知義務違反の主観的事情による故意と過失による故意に分けて,保険者の責任をそれぞれ定めているので,三国の中では最も前向きの告知義務制度であると評価できる。国際的整合性とは少し差がある部分ではあるが,中国保険法の適用過程に現れた道徳的危険の可能性,故意または過失の区分上の困難,保険契約者に対する保険保護の効果に対する成果と問題点に対する分析的研究は,今後の韓国と日本の保険法改正において示唆点を得られたと思われる。

収録刊行物

  • 保険学雑誌

    保険学雑誌 2017 (637), 637_157-637_177, 2017

    日本保険学会

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