若手が担う体育学の未来:温故知新、そして若手ネットワークの構築に向けて  [in Japanese]

Access this Article

Author(s)

Abstract

<p> 1950年の創設以来、日本体育学会は研究の方法・対象・領域の違いによって15の専門領域を構成してきた。関連して創設された個別独立学会の数は、専門領域をゆうに上回る。このような専門分化は、個々の領域における研究の高度化を促進し、今では、個別専門領域のみならず学際的な領域や親学問の領域で活躍する会員も少なくない。社会的状況に目を向けてみても、体育学が対象とするスポーツ・体育・健康・身体運動は、多くの人々や諸機関にとって共通の関心対象となっており、とりわけ学術的研究を通じたエビデンス産出に対するニーズの高まりが、個々の研究者の活躍機会を拡大している。</p><p> 一方で専門分化の進展は、関心と対象の特化した研究者の「雑居状態」と専門領域の「分立状態」を学会内につくってきたとはいえないだろうか。また個別専門領域の研究が高度化する中、体育学(会)が空洞化に向かいつつあることも否めない。個々の研究者にとって活躍の場が拡大したとしても、問題意識と研究関心が散逸し、学問を究めるための共通言語や論争の場が失われれば、体育学が総合科学として存在することの意味さえ疑われかねないだろう。本学会ではこれまでも、分化への危惧と統合の必要性について議論を重ねてきたが、必ずしもその統合原理を明確に示してきたとはいえない。折しも昨年3月「科研費助成事業審査システム改革2018」の中で審査区分改革案が公開された際、もはや体育学の固有性や独立性が自明ではなく、学問としての存在自体が危ぶまれる事態に我々は直面した。</p><p> こうした状況の中で、体育学の次世代を担い、さらには次々世代の育成をも担う若手研究者は、どのような未来像を描くことができるだろうか。もとより体育学研究者としてのアイデンティティを共有することは可能なのか、その必要性はどこにあるのか。本企画は、日本体育学会のこれまでの歩みと変化する学会内外の状況を踏まえ、当事者である若手体育学研究者が自らの立ち位置を自覚的に問いながら、体育学の未来を展望する試みである。そして体育学(会)の再構築と発展的継承を担う、新たなネットワーク構築に向けた出発点を模索したい。</p>

Journal

  • Japan Society of Physical Education, Health and Sport Sciences Conference Proceedings

    Japan Society of Physical Education, Health and Sport Sciences Conference Proceedings 68(0), 10_1-10_1, 2017

    Japan Society of Physical Education, Health and Sport Sciences

Codes

Page Top