非集光型太陽熱温度差発電の開発

書誌事項

タイトル別名
  • Development of Non-Concentrating Type Solar Thermal Energy Conversion

抄録

<p>OTECは安定性や資源が無尽蔵など,基幹電源としての特性を有するものの,発電コストが高く実用化に至っていない。 筆者らは前報1)で,取水設備および発電装置の諸元の最適化により発電コストを出力1,250 kWで43.4 ¥/kWhに下げられると試算した。しかしこのコストでは石炭火力発電の5 ~10 ¥/kWhに比べて高く,本格的普及には至らない。発電コストが高くなる主因に高温側熱源温度が低いこと,スケールメリットを得るに至っていないことがある。 本報ではOTECの高温側熱源の補助装置として“非集光型太陽熱集熱装置”を新たに概略設計し,取水装置,発電装置のコストエンジニアリングとともに仕様を最適化し,スケールアップしたいくつかのケースについて発電コストを試算した。 本補助装置を用いた場合,高温側熱源温度の最適値は約95℃となり,久米島の条件の下で概算発電コストは出力1 万kWで11.3 ¥/kWh,10 万kWで7.0 ¥/kWh,100 万kWで4.6 ¥/kWhとなった。これは比較した再生可能エネルギーに依る他の発電方式に比べても安価で,石炭火力発電に対しても競争力を持つ。 本発電方式は既往技術の組み合わせであるが,異業種・多分野の先端技術を融合し,コストエンジニアリングと最適化を行えば,発電コスト低減に大きく寄与することが分かった。更には日射量に恵まれたサイトを選ぶことで発電コストは大幅な低減が期待できる。世界的には本発電方式に適したサイトは多く,再生可能エネルギーの基幹電源としての本格的普及につながることが示唆された。</p>

収録刊行物

参考文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報

問題の指摘

ページトップへ