潮汐18.6年振動に伴う鉛直混合変動と海洋20年変動

  • 長船 哲史
    国立研究開発法人 海洋研究開発機構 地球環境観測研究開発セ ンター
  • 田中 祐希
    東京大学 理学系研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Bidecadal variability in ocean related to the 18.6-year modulation of tide-induced vertical mixing
  • チョウセキ 18.6ネン シンドウ ニ トモナウ エンチョク コンゴウ ヘンドウ ト カイヨウ 20ネン ヘンドウ

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抄録

<p>地球赤道面に対する月の軌道傾斜角は約5°の振幅をもって18.6年周期で振動している。これに付随した起潮力の変動に対応して,内部潮汐波の微細散逸過程に起因する海水の鉛直混合強度も同じ周期で変動していると考えられる。この鉛直混合変動が,北太平洋及びその縁辺海における海洋中の物理及び生物化学変量に見られる約20年周期の変動に寄与している可能性が指摘されている。この仮説を支持するいくつかの結果が観測データ解析や数値実験から得られている。しかし,定量的な議論はほとんどなく,また,鉛直混合変動と海洋変動とをつなぐメカニズムも充分には理解されていない。この仮説の検証には,鉛直混合に対する直接的な海洋応答のみを通じた影響の評価が必要不可欠である。このためには,大気変動と鉛直混合変動のそれぞれに対する海洋応答を定量的に議論する必要があり,現実的なメカニズムを通じて平均場・変動場を再現することの出来る高い表現力をもった,より高度なモデルを用いた数値実験の実施が望まれる。一方,数値実験の結果を検証するためにも,観測データに基づいた20年変動の実態に関する情報を量と質の両面から拡充する必要もある。</p>

収録刊行物

  • 海の研究

    海の研究 27 (1), 19-30, 2018

    日本海洋学会

参考文献 (27)*注記

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