男子尿道炎からの<i>Mycoplasma genitalium</i>検出のためのキットの検討

  • 濵砂 良一
    国家公務員共済組合連合会 新小倉病院 泌尿器科 産業医科大学 医学部 泌尿器科学教室
  • 松本 正広
    産業医科大学 医学部 泌尿器科学教室
  • レ ティ ファン
    産業医科大学 医学部 泌尿器科学教室
  • 藤本 直浩
    産業医科大学 医学部 泌尿器科学教室
  • 松本 哲朗
    産業医科大学 医学部 泌尿器科学教室

書誌事項

タイトル別名
  • Validation of the Kit for Detecting <i>Mycoplasma Genitalium</i> from the Male Urethritis
  • 男子尿道炎からのMycoplasma genitalium検出のためのキットの検討
  • ダンシ ニョウドウエン カラ ノ Mycoplasma genitalium ケンシュツ ノ タメ ノ キット ノ ケントウ

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抄録

Mycoplasma genitaliumは性感染症である男子尿道炎の原因微生物である.我が国では非淋菌性尿道炎患者の15−25%の尿から検出される.世界的にマクロライド耐性,キノロン耐性M.genitaliumの出現が,尿道炎治療を行う上で問題となっている.しかし,わが国ではM.genitaliumを検出するための保険適用を有する検査キットがない.今回,Seegene社の性感染症関連微生物7種同時検出キット (Anyplex™ II STI-7 Detection; Neisseria gonorrhoeaeChlamydia trachomatisM.genitaliumMycoplasma hominisUreaplasma urealyticumUreaplasma parvumTrichomonas vaginalisを検出) を用いて,M.genitaliumの検出に関する検討を行った.本キットの検出限界を検討するため,保存するM.genitalium 17株を用いた.SP4 mycoplasma mediumで増殖したM.genitalium培養液から,M.genitaliumのDNAを抽出し,M.genitaliumのDNAコピー数を測定した.M.genitaliumのDNA抽出液を101~108倍に希釈した希釈液を作成した.それぞれの希釈液をAnyplex™ II STI-7 Detectionで反応させ,もっとも希釈した液でM.genitaliumが検出されたものを検出限界とした.17株中14株で,希釈限界におけるDNAコピー数は10 genome equivalent (geq) /reaction未満で,3株で10 geq/reaction以上であった.その中でもっとも高いDNAコピー数は48.4 geq/reactionであり,約50 geq/reactionがAnyplex™ II STI-7 Detectionにより保証されるM.genitaliumのDNAコピー数と考えられた.また,保存する尿検体からDNAを抽出し,MgPa geneの一部を増幅させるPCR法とAnyplex™ II STI-7 Detectionとで,M.genitaliumの検出率を比較した.両方法での陽性一致率は96.4% (27/28),陰性一致率は98.6% (71/72) であった.両方法との間に1例ずつの不一致があったものの,陽性,陰性一致率とも高かった.Seegene社の性感染症関連微生物7種同時検出キット,Anyplex™ II STI-7 Detectionを培養液,尿検体の面から検証し,M.genitalium検出に関して有用性が高いことが分かった.

収録刊行物

  • Journal of UOEH

    Journal of UOEH 40 (1), 45-52, 2018

    学校法人 産業医科大学

参考文献 (1)*注記

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