沖縄県自生植物芭蕉(バショウ、<i>Musa basjoo</i>)葉抽出物のヒト大腸がん細胞に対する細胞毒性

DOI
  • 松本 晴年
    名古屋市立大学大学院医学研究科分子毒性学分野
  • 安藤 さえこ
    名古屋市立大学大学院医学研究科分子毒性学分野
  • 深町 勝巳
    名古屋市立大学大学院医学研究科分子毒性学分野
  • 二口 充
    名古屋市立大学大学院医学研究科分子毒性学分野
  • 酒々井 眞澄
    名古屋市立大学大学院医学研究科分子毒性学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Cytotoxicity of the crude extracts of <i>Musa basjoo</i> in human colon carcinoma cells

抄録

【背景】これまでに我々は沖縄県産植物のがん細胞への細胞毒性を明らかにした(Asian Pac J Cancer Prev 6: 353-358, 2005, Eur J Cancer Prev 14: 101-105, 2005, Cancer Lett 205: 133-141, 2004)。芭蕉の葉身からの抽出物 (アセトン(A)あるいはメタノール(M)抽出)を用いてヒト大腸がん細胞株に対する細胞毒性とその機序を調べた。【方法】各抽出物をヒト大腸がん細胞株HT29およびHCT116にばく露し、コロニーあるいはMTTアッセイにて細胞毒性を検討した。細胞毒性の程度をIC50値(50%増殖抑制率)にて判定した。アポトーシスの有無と細胞周期への影響をフローサイトメトリーおよびウェスタンブロット法で検討した。【結果と考察】コロニーアッセイでのIC50値は、HT29株では118 μg/mL(A)、>200 μg/mL(M)、HCT116株では75 μg/mL(A)、141 μg/mL(M)であった。MTTアッセイでのIC50値は、HT29株では115 μg/mL(A)、280 μg/mL(M)、HCT116株では73 μg/mL(A)、248 μg/mL(M)であった。アセトン抽出物にはより強い作用を持つ有効成分が含まれると考えられた。HT29株では、アセトン抽出物(100 μg/mL)のばく露によりcontrolと比較してG1期が5.4%有意に上昇し、これに伴ってG2/M期が減少した。つまり、G1 arrestが誘導された。アポトーシスに陥った細胞集団が示すsubG1 populationは見られなかった。HT29およびHCT116株では、アセトン抽出物のばく露によりcyclinD1およびcdk4タンパク発現レベルが濃度依存的に低下した。一方、HCT116株では、p21CIP1タンパク発現レベルが濃度依存的に増加した。これらの結果より、芭蕉葉の抽出物には細胞毒性をもつ物質が含まれ、アセトン抽出物はcyclinD1およびcdk4タンパク発現を減少させ、p21CIP1タンパク発現を増加させることで細胞周期を負に制御すると考えられる。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205549708160
  • NII論文ID
    130006582202
  • DOI
    10.14869/toxpt.44.1.0_p-75
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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