ポリサルファイドモデル化合物Na<sub>2</sub>S<sub>4</sub>は1,4-NQ曝露によるPTEN/Akt/CREBシグナルの活性化を抑制する Polysulfide Na<sub>2</sub>S<sub>4</sub> regulates the activation of PTEN/Akt/CREB signaling

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抄録

[目的] 先行研究において、環境中親電子物質である1,4-ナフトキノン (1,4-NQ) はセンサータンパク質であるKeap1およびHSP90を親電子修飾することで、それらの応答分子である転写因子Nrf2およびHSF1を活性化することを明らかにしてきた。本研究は、センサータンパク質としてPTEN、その応答分子であるAktシグナルに注目した。一方、ポリサルファイドは求核性が高いために1,4-NQを捕獲して、反応性の低い1,4-NQ-イオウ付加体を形成することが考えられる。そこで、本研究では初代マウス肝細胞 (PMH) を用いて、1,4-NQによるPTEN-Aktシグナルの活性化におけるポリサルファイドの関与を明らかにすることを目的とした。<br>[結果・考察] 1,4-NQ曝露で見られた濃度依存的な細胞死、細胞内タンパク質およびPTENの1,4-NQ修飾はNa<sub>2</sub>S<sub>4</sub>との同時曝露で抑制された。1,4-NQは10 µM曝露をピークにAktおよびその下流であるCREBのリン酸化を亢進し、さらに高濃度ではそれぞれのリン酸化を抑制した。1,4-NQと10 µM もしくは100 µM Na<sub>2</sub>S<sub>4</sub>との同時曝露では、その活性化ピークが20 µMもしくは40 µM1,4-NQ曝露であり、1,4-NQによるPTEN-Akt-CREBシグナルの破綻の閾値が高くなった。本条件下において、培地中から1,4-NQ-イオウ付加体が同定された。これらのことから、Na<sub>2</sub>S<sub>4</sub>は1,4-NQと反応してイオウ付加体を形成することで、1,4-NQを不活性化すると示唆された。1,4-NQ-イオウ付加体の一つである1,4-NQ–S–1,4-NQ-OHを単離・精製し、PMHに曝露すると、1,4-NQ曝露で見られた細胞死、1,4-NQ修飾およびAkt/CREBの活性化は認められなかった。以上のことから、Na<sub>2</sub>S<sub>4</sub>は1,4-NQ曝露によるPTEN-Aktシグナルの活性化を抑制することが示された。ポリサルファイドは、環境中親電子物質によるリスクを制御する一因子であるかもしれない。

収録刊行物

  • 日本毒性学会学術年会

    日本毒性学会学術年会 44.1(0), P-271, 2017

    日本毒性学会

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