上越市中ノ俣および愛媛県二神島の調査を中心とする山村および漁村における民家・集落の比較研究(2)

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タイトル別名
  • A comparative study on houses and villages in mountain villages and fishing villages according to the survey in Nakanomata, Joetsu city and Futagamijima, Ehime pref. (2)

抄録

昨年度に引き続き,上越市中ノ俣とその近隣の能生谷およぴ愛媛県二神島の集落・民家の調査を行ない,集落の空間構成および民家の様相についてさらに分析を進めた。また,生活習俗についても検討を加えた。中ノ俣の集落は,中ノ俣川の両岸沿いに,隣家と間隔を保ちながら南北900mほどの範囲に80戸が散在している。各民家は主屋1棟のみの家屋構成が多く,主屋1棟で住空間・作業空間の諸機能を満たしていると考えられる。主屋は平均43坪ほどで,平面は方三間のチャノマを中心に上手にザシキ,奥にネマ,下手奥にナカノマ,下手に土間を配するほぼ共通した間取りである。二神島の集落は,港を中心に海岸沿いに東西500mほどにわたって150戸が密集している。各民家は主屋・ヘヤ・納屋・便所・風呂などの家屋構成が多く,諸機能を各家屋に分散させていると考えられる。主屋は平均21坪ほどで中ノ俣に比べ小規模である。主屋は「おもて6畳」「4畳半くだり」と呼ばれる2種の典型的平面をもつ。ヒノラと呼ばれる中庭を囲んで建物が建ち,中庭形式とでも呼ぶべき特色ある配置をもっている。中ノ俣の近隣集落である能生谷も中ノ俣の民家と極めてよく似た同系統の民家が分布している。この能生谷における民家の普請の様相を普請関係文書によって検討した。民家の普請はほぼ村全戸からの手伝いによって行なわれ,多く手伝いを必要とする作業は雪解けの旧暦2月から農作業が本格化する旧暦4月にかけて行なっている。また,能生谷島道の茅講では,毎年前1分芽2〆と40銭を持ち寄り,協議の上取り主を決め,組合員全員に茅が渡し終えれば講を解散するという運営が行なわれている。二神島では,飲料水を得るための共同井戸の使用範囲と小字の地区がほば一致している等が明らかとなった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679525032960
  • NII論文ID
    130006730170
  • DOI
    10.20803/jusokennen.15.0_149
  • ISSN
    24239879
    09161864
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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