岩下洞穴(長崎県佐世保市)出土の縄文時代早・前期人骨:特に早期人が短命であった可能性について

書誌事項

タイトル別名
  • Initial and Early Jomon human skeletal remains from Iwashita Doketsu, Sasebo, Nagasaki prefecture, Japan: Were Initial Jomon people ephemeral?
  • イワシタ ホラアナ(ナガサキケン サセボシ)シュツド ノ ジョウモン ジダイ ソウ ・ ゼンキ ジンコツ : トクニ ソウキ ヒト ガ タンメイ デ アッタ カノウセイ ニ ツイテ

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抄録

<p>長崎県佐世保市に所在する岩下洞穴からは,1960年代の発掘調査で大量の縄文早期人骨と,若干の縄文前期に属する人骨が出土し,1968年にその基礎情報を記した報告書が刊行された。しかしその後,学界で縄文早期人への関心が高まったにも関わらず,岩下洞穴の人骨資料についてその価値に見合った議論がなされてきたとは言い難い。今回,この人骨コレクションの再整理・修復を行い,新たに個体同定や年齢・性別を見直した。正確な数は特定できないが,本遺跡から出土した縄文早期人骨は約30個体,前期人骨は2個体で,国内有数の人類遺跡であることが再確認された。再整理の結果,以下を含む興味深い事項が浮かび上がってきた:①岩下洞穴の縄文早期人が全国の早期人と共通の華奢な骨格形態特徴を持つという先行知見が追認された;②早期の成人個体群(19体)は,確認できる範囲では若い成人のみで(8体),明らかな熟~老年個体が含まれない;③他地域の早期人骨と同様に激しい咬耗が認められたが,これらは咬耗の速度が非常に速いことの結果であり,年齢推定の指標にすべきでない。早期人が短命であった可能性を,彼らの華奢な骨格形態と合わせてどのように検討すべきかを考察する。</p>

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参考文献 (12)*注記

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