半島マレーシア低地フタバガキ林の地下部調査  [in Japanese] Study on Belowground Biomass in a Lowland Dipterocarp Forest, Peninsular Malaysia  [in Japanese]

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東南アジアの熱帯雨林は,アフリカや南米の熱帯雨林に比べ樹高も高く,巨大なバイオマス(現存量)を誇っている(山田,1992)。この巨大なバイオマスは 約半分が炭素と考えられており,地球全体の中で貴重な炭素プールとなっている(吉良,1976,1983)。熱帯雨林の炭素蓄積量を推定するにはまず個々 の樹木のバイオマス推定が必要である。これまで地上部のバイオマス推定は,実際に樹木を伐倒し,各器官の重量を現場で実測して行われてきた。やっかいなの は地下部のバイオマス推定である。地上部を伐倒した上に,さらに根系を丸ごと掘り取る作業は大変な仕事である。しかし,温帯の樹木については先人の努力に よって,多くの樹種で根系の形態とバイオマスの概要が明らかになってきている(苅住,2010a,b)。では熱帯雨林の根系はどのくらい深く,どのような 形態で成長し,どれだけのバイオマスがあるだろうか?われわれはマレーシア半島のパソー森林保護区でこの課題に挑戦した。このパソー森林保護区は日本人研 究者とのつながりが深い。1970年代のIBP(International Biological Program,国際生物学計画)の中で,多くの日本人研究者がパソーの熱帯雨林の生産力測定や関連研究に関わり,大きな成果をあげた(Kato ら,1978; Kira, 1969, 1978b, a; Ogawa, 1978; Yoda, 1978; Yonedaら,1978)。このときに地上部の伐倒調査が行われ,精密な地上部バイオマスを推定するアロメトリー式が完成された(Kato ら,1978)。しかし,地下部については仮定を置いて一定割合を地下部バイオマスとして割り当てるに留まった(Kira,1978b)。この時代は世界 的に森林生態系の一次生産力を求めることに精力が注がれ,多くの森林で,平均のバイオマスと平均の一次生産力が網羅的に明らかになった(Cannell, 1982)。その後,エルニーニョや温暖化といった気候変動が話題になり,熱帯雨林が世界的な炭素収支にどのような役割を果たしているのかが問われるよう になってきた。このような背景の中,改めて土壌とともに地下部のバイオマスと炭素蓄積が重要との認識が高まった。しかし,マレーシアの熱帯雨林の木を伐倒 し,なおかつ地下部を掘り取って測定することは誰の目にも大変な作業と思われた。熱帯雨林の地下部調査を担当できる研究者を探したがなかなか見つからず, 結局,自分達でやることを決断した。樹木の根系は単にバイオマスとして炭素をため込んでいるだけではなく,地上部を支持する役割を持っている。また地表付 近の細根で栄養塩を吸収したり,垂直根で地下深くから水を吸い上げて葉に供給するなど,重要な生理,生態機能を担っている。しかしながら,巨大な熱帯雨林 の樹木では,掘り取ることの困難さから,その形態も機能もバイオマスもほとんどわかっていない状態であった。この報文ではNiiyamaら(2010)の 論文を中心に,現場の調査写真なども加えて,専門外の方々にも熱帯雨林の地下部の特性を理解してもらうことを目指した。目的は,根系の形態を簡単に記述 し,地下部バイオマスの測定方法について検討を行うこと,そして掘り取りデータから得られた熱帯雨林の地下部バイオマスの推定式を解説し,得られた地下部 バイオマスの推定値を議論することである。

Journal

  • Water Science

    Water Science 58(5), 104-120, 2014

    Japan Forest Conservation Association

Codes

  • NII Article ID (NAID)
    130006836811
  • NII NACSIS-CAT ID (NCID)
    AN00125003
  • Text Lang
    JPN
  • Article Type
    journal article
  • ISSN
    0039-4858
  • NDL Article ID
    025972409
  • NDL Call No.
    Z16-140
  • Data Source
    NDL  J-STAGE  JASI 
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